ワンダー 君は太陽


 2020.1.31      健気な姿に涙が出そうになる【ワンダー 君は太陽】

                     
ワンダー 君は太陽
評価:3.5

■ヒトコト感想
遺伝子異常で人とは異なる顔で生まれた少年オギーの物語。自分の顔が他人とは違って変だといつ気づくのか。そして、デリケートな少年時代を過ごし、小学校中学年となる。新たなクラスメイトたちに何を言われるのか。相当に辛い人生であることは容易に想像ができる。そんな状態で仲間や姉、家族たちの支えがありながらオギーはたくましく成長していく。

本作ですばらしいのは、校長や教師たちがオギーのことをしっかりと理解しているということだ。オギーをイジメた優等生が適当な言い訳をしてもすべて看破する。オギーは自分自身の成長もあるが、良い大人たちに恵まれたというのもあるのだろう。オギーのけなげな姿というのは、見ると涙がでてきそうになる。

■ストーリー
「僕は普通の10歳の子じゃない」――オギーは遺伝子の疾患で、人とは異なる顔で生まれてきた。27回の顔の手術のせいで自宅学習を続けてきたオギーだが、両親は息子を外の世界へ送り出そうと決意する。だが、5年生で入学した学校で、オギーはいじめや裏切りなど初めての困難と出会う。幾度もくじけそうになりながら、家族の愛を勇気に変えて立ち向かうオギーの姿に、周囲の人々が変わり始める。そして忘れられない1年を締めくくる修了式の日に、最大の出来事が待ち受けていた──。

■感想
27回もの顔の手術の末、オギーは今の顔になった。ヘルメットをかぶって公園で遊ぶオギー。周りから奇異の目で見られることには慣れている。それでも新しいクラスメイトたちとの関係を築く前には緊張でおなかが痛くなったりもする。

優等生や目立ちたがり屋がオギーの面倒を見るのは最初だけ。次第にオギーのことをペストだとか言う者もでてくる。オギーは性格的に屈折したり、いじけて嫌味っぽくなったりせず、常に素直なのが良い。子供らしいひねくれた考えもあるが、オギーは良い子すぎるだろう。

オギーの姉視点のパートもある。両親は常にオギーのことを気にかけ、姉のヴィアは放置されている。ヴィア自身もそのことを理解しながらも、複雑な気持ちとなる。オギーに両親が親身になるのは当然だ。その反動としてヴィアにしわ寄せがくるのもわかる。

本作ではヴィアはそれらを全て理解しながらも、ヴィア自身にも様々な辛いことがある。ヴィアがオギーを大切に思いながらも、自分の満たされない気持ちがある。この複雑な状況はヴィアにしかわからないのだろう。

オギーの友達もまた、オギーと出会うことによって変わっていく。オギーの顔には慣れる。まさにこれが全てだろう。顔に驚くのは最初だけ。顔に慣れるとオギーの性格的なことが目に付き、オギーが頭も良く良い奴だということがわかる。

ただ、小学生なので友達の前では変に粋がったりもする。ふとしたきっかけでオギーの悪口を言ってしまう。それをオギーに聞かれていたために…。顔にコンプレックスがあるオギーは必要以上に卑屈になる可能性がある。オギーがそうならないのは、周りの仲間に恵まれたからだ。

オギーのけなげな姿は涙がでそうになる。



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