2021.1.20 偏屈な老人のロードムービー【家へ帰ろう】
家へ帰ろう [ ミゲル・アンヘル・ソラ ]
評価:3
■ヒトコト感想
老人アブラハムがポーランドへ向かう旅の物語。偏屈で金に汚い老人が、娘たちから疎まれながら壊死しかけた足が切られることを拒否する場面から始まる。ユダヤ人であるアブラハムは70年前にホロコーストで死にかけたところを助けてもらった恩人と会うために旅にでる。物語のポイントは偏屈な老人が若者たちや現地の人々と交流しながら目的地を目指す部分だ。
パリからドイツを通らずにポーランドに行きたいという無理難題を言ったりもする。金は持っているのだが、宿泊料金を値切ったりもする。偏屈な老人ではあるが、なんだか憎めない。いざというとき、人助けのために大金を使ったり。娘たちとの関係がうまくいってないことがアブラハムを懐かしの地へ向かわせる要因のひとつなのだろう。
■ストーリー
アルゼンチンに住む88歳の仕立屋アブラハムは、施設に入れようとしている家族から逃れ、ポーランドへ向かうための旅に出る。目的は、70年前にホロコーストから命を救ってくれた親友に自分が仕立てた「最後のスーツ」を渡すこと。飛行機で隣り合わせた青年、マドリッドのホテルの女主人。パリからドイツを通らずポーランドへ列車で訪れることができないか、と四苦八苦するアブラハムを助けるドイツ人の文化人類学者など、旅の途中で出会う人たちは、アブラハムの力になろうと自然体で受け入れ、手助けする。
たどり着いた場所は70年前と同じ佇まいをしていた。アブラハムは親友と再会できるのか、人生最後の旅に“奇跡"は訪れるのか……。
■感想
アブラハムは孫に囲まれて写真を撮ることを望む。老人ホームの仲間たちに幸せな自分を見せたいがため。。。孫との交渉で、孫はスマホを買うためのお小遣いの交渉をする。このあたり、のちのち判明するのだがユダヤ人だから金の交渉にはシビアということを言いたいのだろうか。
アブラハムは両足を切断されることを拒否するため、ひとりアルゼンチンからポーランドへ昔の仲間に会いに行く。序盤ではなぜアブラハムがポーランドに向かうかわからない。それが旅がすすむにつれて理由が明らかとなる。
旅の途中では若者とちょっとしたゴタゴタがあったり、宿泊場所ではちょっとした出会いがあったり。老人であり足が悪いのだが、信じられないほどアクティブに動いている。その後、アブラハムがホロコーストで死にかけた時、助けてもらった恩人に会いにいくとわかる。
ドイツに対して今でも強烈な嫌悪感をもつアブラハム。パリからポーランドに行くためにはどうしてもドイツを通らなければならない。それを避ける方法はないかと無理難題を言ったりもする。
ドイツ人女性がアブラハムを助けようとするのだが、ドイツ人と分かると、アブラハムはとたんに嫌悪感をあらわにする。アブラハムはドイツ人女性のサポートを受けながら無事にポーランドについて感動の再会をはたす。
70年ぶりの再会ではあるが、見た瞬間にお互いのことを理解する。それぞれがボロボロの老人とはなっているが、すぐに相手のことを理解するのが感動的だ。過去の歴史的な事件をテーマとしているが、日本人にとってはなかなか理解できない部分ではある。
老人が死ぬ前に最後にやり残したことがないかと旅する物語だ。
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