ウィザード・オブ・ライズ


 2018.8.6      実在した巨額詐欺事件 【ウィザード・オブ・ライズ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
実話を元にした衝撃作品。証券会社を経営するバーニーがとんでもない詐欺行為を行いながらの会社経営となる。本作は、詐欺が明るみになってからの物語となっている。物語のポイントは、バーニーが家族に被害を与えないため、自分とごく少数の人物しか詐欺行為を知らない状態としたことだ。巨大企業でありながら、ありえない状況だ。FBIはそれを信じることなく、息子たちも共犯だと調べに入る。

500億ドルもの金を集めながらそれをだまし取る。まさにとんでもない所業だ。バーニー自身はどうにもならないところまで追い込まれ、世界が滅亡すればよい、と思うほど心理的には限界だったのだろう。家族が崩壊していく様は、まさに驚愕としかいいようがない。

■ストーリー
ロバート・デニーロ(バーニー・メイドフ役)とミシェル・ファイファー(ルース・メイドフ役)主演。このHBOフィルム製作作品は、投資家の妻と息子たちが目もくらむほど眩しいスポットライトの元に投げ出される間にも、バーニー・メイドフのポンジスキームを構成した策略、嘘、隠蔽工作を精査する。アレッサンドロ・ニヴォラ、ネイサン・ダロウ、クリステン・コノリー、リリー・ラベ、ハンク・アザリア共演。

■感想
2008年に起こった巨額詐欺事件を描いた作品。証券会社がひとりの経営者の詐欺行為により、顧客から500億ドルもの大金をだましとったことが明るみにでて逮捕される流れだ。詐欺が明らかとなりバーニーは逮捕される。そこでバーニーには事情聴取されるのだが…。

周りがどこまでバーニーの詐欺行為を知っていたのかがポイントだ。金をだまし取られた世間は、バーニーだけでなくその家族に対しても怒りの矛先を向ける。まさにバーニーが逮捕された瞬間に、家族は崩壊している。妻のルースが子供たちに助けを求めたとしても、冷たくあしらわれるのはつらい。

バーニー自身もいつまでもこの状況が続くとは考えていない。漕ぎだした船を止めることができず、先に進むしかない状況なのだろう。自分と側近しか関与していない詐欺事件。息子たちが逮捕されるのを避けるために、決して息子たちに状況を知らせようとはしない。

ただ、バーニーが仮に死んだ場合は、後を継ぐのは息子たちで、その時、必ずバレる話だ。頭では理解していながら、どこか現実逃避していたのだろう。バーニーがポツリとつぶやいた言葉が衝撃的だ。自分の顧客もろとも世界が滅亡すれば、詐欺がバレないという言動だ。

息子たち家族は離れていき、父親であるバーニーに怒りをぶつける。息子たちの気持ちは当然だろう。自分たちも騙されていたという気持ちは強い。家族の信頼感を一気に失う状況だ。唯一の理解者である妻のルースすら、FBIに家財道具を差し押さえられ、さらには、息子の自殺を受け、ノイローゼになりかける。

バーニーの自業自得と言えるのかもしれないが、どうにもならない状況からもっと早く抜け出すことはできなかったのだろうか。ありえない希望にすがるのは、まさに追い込まれた者の思考なのだろう。

これが全て実話ということに衝撃を受けた。



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