長州ファイブ


 2019.2.2      5人とも将来大物になる衝撃 【長州ファイブ】
                     
長州ファイブ chosyu editio [ 松田龍平 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
開国を迫られた日本。長州の侍たちは、西洋に対抗するためにイギリスへ留学しようとする。長州の若者たちが、金を集め海外へ渡り、そこで勉強し技術や知識を日本に持ち帰る。まさに日本の近代化に寄与した者たちが描かれている。鉄道や造船、造幣や総理大臣まで、このタイミングで長州からイギリスへと留学した若者たちが、のちに相当な大物になっていたことに驚かずにはいられない。

偶然の要素はあるにせよ、大金を用意してもらい長州から密航の形で送り込まれた5人の覚悟は相当なものだったのだろう。5人の強い決意は、ホームステイ先や職場のイギリス人たちの心を強くうち、彼らの勉強に協力してくれたのだろう。今の東南アジアの若者が研修として日本にやってくるのに似ているのかもしれない。

■ストーリー
ペリー率いる黒船の来航以来、尊皇攘夷の気運が勢いを増す幕末の日本。そんな中、西欧に人材を派遣し見聞を広め学問や技術を習得することが必要と説く佐久間象山の言葉に深く心を動かされた長州藩の若者、志道聞多。

見つかれば死罪という国禁を犯してまでもイギリスへ渡りたいという聞多の情熱は、藩主の毛利敬親にも聞き入れられ、藩は密航を黙認するのだった。こうして、志道聞多と彼の情熱に突き動かされた山尾庸三、野村弥吉、伊藤俊輔、遠藤謹助の5人は、日本の未来のため、遥かなる異国の地、イギリスを目指して危険な航海に旅立つのだった。

■感想
今の山口県である長州の若者たちは、外国の脅威にさらされ、外国のすすんだ文明を吸収するためイギリスへ留学しようと決意する。まず留学の費用が莫大なので、それをどのようにして集めるかで四苦八苦する。

国としては渡航は禁止されているが、藩の有力者に土下座をし腹を切る覚悟を見せ金を用意してもらう。何かしらの成果を手に入れるまでは帰るつもりはない、という強い決意でイギリス留学を目指す。この強烈な決意は、今の日本人にはない国のために命を懸けるという強い信念なのだろう。

5人がそれぞれ、のちに日本の近代化に大きな影響を与えたというのがすごい。5人が5人とも大活躍するというのはありえない状況だろう。英語がほとんど話せない状態でイギリスへ向かう。その道中で勉強し、着いたころにはコミュニケーションがとれるようになる。

イギリスへ着いたばかりの5人は、さながらアフリカの奥地から日本へはじめてやってきた原住民が驚くようなパターンだ。近代化されたロンドンを目の当たりにして、すべてに衝撃を受ける。特に列車については、30年前に作られたということに激しい衝撃を受ける5人だった。

5人がそれぞれ役割を認識し、それらをしっかりと日本に持ち帰ったのはすごい。イギリスへ渡ること自体が命がけであるにも関わらず強い情熱をもって対応する。のちの総理大臣までも生み出しているのはすごい。

5人の必死な姿は、イギリス人たちの心にも響いたのだろう。5人を差別することなく尊重し、勉強や仕事の手助けをしたりもする。5人の中には聾唖なイギリス人女性とよい関係になった者もいる。同じ日本人としてたくましさを感じずにはいられない。

5人が5人とも何かをなしとげているというのがすばらしい。



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