月に囚われた男


 2020.2.27      月で孤独な作業をする男【月に囚われた男】

                     
月に囚われた男[ サム・ロックウェル ]
評価:3

■ヒトコト感想
月の施設でひたすら孤独な作業を続けるサム。あと少しで地球へと帰れるはずが…。月の作業は過酷で孤独だ。誰もが嫌がる仕事を続けさせるためにはどうすべきか。序盤からそのからくりが明らかとなる。作業中や不慮の事故でサムが死亡した場合は、代わりのサムがすぐに目覚めさせられる。サムはクローンとして月で一生仕事をすることにされていた。

クローンの中でも新しいクローンは力に満ち溢れており、古いクローンは体にガタがきていて、そのままでも寿命がつきてしまう可能性がある。サムが真実を知る場面は衝撃的だ。地球からやってくる会社の者たちにクローンが複数生きていると知られると排除される。閉鎖された空間で、同一人物である2人のクローンが対決するのも奇妙な映像だ。

■ストーリー
近未来――地球の資源は底をついた。宇宙飛行士のサムはエネルギー源を月より地球へ送るため、ルナー・インダストリーズ社よりたった一人で派遣されていた。月での生活は、毎日決まった時間に起き、ランニングマシーンに乗り、ヘリウム3を採掘するだけの日々。話し相手はコンピューターのガーティだけ。地球との交信は衛星の故障によりできず、録音したメッセージをやり取りするのみ・・・。3年という契約期間を淡々とこなし、やっと、地球に戻れる日が2週間後に迫っていたのだが――!?

■感想
月の施設で孤独な作業に従事するサム。唯一の気晴らしは地球で暮らす妻子とのテレビ電話の録画を見るだけ。ルーティーンを続けるだけの生活の中で、コンピュータだけが話し相手となる。通信機能が故障したのがポイントなのだろう。

サムが気晴らしに外に出た際に事故にあい負傷してしまう。そして目が覚めると健康体のサムがいる。ここで観衆は何かがおかしいことに気が付く。大怪我をしたサムが健康体に様変わりしている。これぞ特殊な未来の機器か?とも思うが、物語の真実は別の方向にある。

健康体のサムが外に出ると、そこには車の中で大怪我し瀕死の状態のサムがいた。サムが2人いる。その結果、ふたりのサムは自分たちがクローンだということに気づく。古いサムよりも新しいサムの方が力がみなぎっている。単純に怪我をしていること以外にも何かあるのだろう。

クローンは経年劣化していくようだ。もし、怪我がなかったとしても体は自然にボロボロになっていったのかもしれない。サムは会社の策略に気づき、通信機器が正常に動いている箇所を見つけ出し、地球と通信しようとする。

事故を起こしたサムを回収するために会社の人間がやってくる。ここでサムは長年のパートナーであるコンピュータに依頼して自分のコピーがどこにあるかを探り当てる。そして、怪我をしたサムをこっそりと地球に帰そうとする。自分ではなく生い先短いサムをあえて地球へ帰そうとする。

会社からすると何もない平穏な月の日常なのだが、裏では3人のサムたちが入り乱れて様々な策略を練っている。何も知らされず記憶をたびたびリセットされクローンとして作業を続けるのは苦行の極みだ。

怪我したサムを地球に帰そうとするのが男気にあふれている。



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