つぐない


 2018.12.7      少女によって青年の人生は狂わされた 【つぐない】

                     
つぐない キーラ・ナイトレイ
評価:3

■ヒトコト感想
少女ブライオニーは姉セシリーと使用人の息子であるロビーの関係に嫉妬し、いとこのローラがレイプされた犯人だと証言してしまう。このブライオニーの贖罪が本作のすべてだろう。序盤ではブライオニーやセシリーやロビーたちの関係が濃密に描かれている。楽しそうなセシリーとロビー。そして、ひそかにロビーに恋心をいだくブライオニー。

いじらしいが、ブライオニーが時折嫉妬心からいやがらせのような行動をとるのが印象深い。ブライオニーの証言でロビーはその後の人生が大きく崩れることになる。刑務所に収監され戦争にかりだされ…。ロビーからすると、成長したブライオニーに真実を告げられても怒りしかわいてこないだろう。

■ストーリー
イアン・マキューアンの最高傑作として名高い世界的ベストセラー『贖罪』を映画化!20世紀前半のイギリスを舞台に、一人の少女が犯した罪によって引き裂かれた一組の恋人の運命と、その罪の重さに苛まれる少女の人生を描く。キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナンほか出演。

■感想
少女ブライオニーによりひとりの青年の人生は狂わされた。それは、姉セシリーの人生を狂わせたのと同じだろう。ロビーへの恋心から、セシリーとロビーが仲良くすることに嫌悪感を示すブライオニー。極めつけはセシリーとロビーの情事の場面を目撃し、ロビーのことを軽蔑する場面だろう。

ブライオニーの中では少女期独特の潔癖な考えがあったのだろう。相手がセシリーということが、なおさらロビーを軽蔑する材料になったことは確かだ。そんな状態でいとこが暴行された現場に出くわしたので、犯人をロビーと誤認識してしまったのだろうか…。

犯罪者となり刑務所に入るロビー。そして、戦争がはじまりロビーは戦地へと駆り出されるのだが…。戦争がはじまると、セシリーは看護師となり遅れてブライオニーも看護師となる。そこには、自分がやったことへの贖罪の気持ちがあるのだろうか。

ロビーを暗黒に突き落とす証言をしたのはブライオニー自身だ。ブライオニーが自分の過ちに気づいてすぐにでも父親や母親に過去の証言を否定しなかったのはなぜなのだろうか。運悪く、いとこを暴行した真犯人は、実はいとことその後結婚したという状況が、よりブライオニーが証言を撤回する機会を奪っている。

ブライオニーがセシリーとロビーの前で自分の間違いを証言するシーンは強烈だ。ロビーからしたら殺しても殺し足りないような人物だろう。ブライオニーが証言しようとしまいと、ロビーの状況は変わらないところまできてしまった。

ラストでは老婆となったブライオニーが自伝小説について解説をしている。そこではセシリーとロビーの前で告白はできなかったと語っている。普通に考えれば無理だろう。自分のウソの証言で、姉と恋人の人生を狂わせたなんてことを、今更言えるはずがない。

ブライオニーの若さゆえの過ちには、怒りすら覚えてしまう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp