トリガー 上 


 2020.2.26      東京オリンピックの競技中、選手が射殺される 【トリガー 上】

                     
トリガー 上/真山仁
評価:3.5
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■ヒトコト感想
東京五輪の真っただ中で乗馬の選手がライフルで狙撃されてしまう。序盤では日米韓のスキャンダルを握ってる韓国の検事セリョンの状況が描かれている。中盤でセリョンが狙撃されてからは、ジェットコースターのように急転直下の展開となる。北朝鮮の工作員、韓国の検事や警察組織、そして日本の公安、警察官僚、SATまで様々な立場の者が入り混じる。

外交問題にまで発展する可能性のある殺人事件。怪しげな組織の存在や日韓の在日米軍に関する秘密など物語は思いもよらない方向へと動いていく。とんでもないスキャンダルの証拠をもつ者は、例外なく消されていく。あらゆる場面でその力を使うことができる組織とはどのような存在なのか。物語が進むにつれて、これほど強烈な組織の全容については興味が強くわいてくる。

■ストーリー
東京五輪で放たれた、一発の銃弾。謀略の引き金はひかれた!2020年7月24日、東京オリンピックがついに開幕した。現役検事ながら馬術競技韓国代表のキム・セリョンは五輪直前、二度も凶漢に襲われ、ある不正に関する極秘捜査をやめるように脅されていた。5月半ばには、在日米軍女性将校と北朝鮮の潜伏工作員の変死事件が相次いで発生。三つの事件の裏には、日韓の在日米軍に関するある謀略が蠢いていた――。アジアの安全保障を根底から揺るがすパンドラの箱が、いま開かれた!!

■感想
日米韓のスキャンダルを握るセリョン。乗馬のオリンピック韓国代表でありながら、競技中に射殺されてしまう。日本と韓国の外交問題にも発展する可能性がある。上巻では衝撃的な展開が続く。日本と韓国それぞれの思惑があり、自国で主導権を握ろうとする。

国の中枢を担うものたちがどれだけ事件にかかわっているのか。日本で長く生活し北朝鮮の工作員として日本の裏社会では名の知れた和仁など、北朝鮮までもが事件にかかわってくる。そして、北朝鮮はセリョンを守る任務をうけていたとわかる。

在日、在韓米軍を外注させようとする勢力がある。日本と韓国からしたらとんでもないことだが、アメリカは裏で圧力を強めている。日本、韓国、そしてアメリカのスキャンダルの証拠を握っていたセリョンが殺された。同じくセリョンと協力して捜査していた日本の検事は家族もろとも行方不明となっている。

官房長官から特命を受けた冴木が、人脈を駆使して調査を続ける。序盤からミステリアスな展開だが、何よりスケールがとんでもなくでかい。多少の死者がでることをまったく気にしていない者たちもいる。

韓国と日本の一部の者は東京オリンピックを無事に再会するために、韓国が用意した偽の犯人をうまく使うことで事態の収拾を図ろうとしている。それに反発するのは現場の人間たちだ。セリョンの警護を任されたSPの藤田は、捜査に参加しセリョンが残したヒントを見つけることになる。

日本の公安のふりをした北の工作員や正体不明の組織たち。民間の軍事会社の介入により、スキャンダルを知る者たちをどこまでも殺害しようとするのが恐ろしい。

オリンピック中に代表選手が射殺されるなんてのは、とんでもないスキャンダルだ。



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