トランボ ハリウッドに最も嫌われた男


 2018.9.6      才能がすべてを凌駕 【トランボ ハリウッドに最も嫌われた男】

                     
トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [ ブライアン・クランストン ]
評価:3

■ヒトコト感想
ローマの休日の脚本家であるトランボは、赤狩りの弾圧にあい投獄されハリウッドから干されてしまう。失意のトランボは名前を変えて別の作品でアカデミー賞にまで輝いてしまう。まさに様々な弾圧を才能が凌駕した瞬間かもしれない。映画界全体が赤狩りに必死となる。トランボに対しても、その信念を曲げないのであれば干されると忠告されるのだが…。

例えどのような不利益を得ようとも、トランボは自分の信念を曲げることはない。投獄されたとしても、その信念は変わることはない。偽名を使ってまで脚本を執筆し、映画界でひそかに活動する。トランボの執念と、それに感化される人たちの物語だ。最後の最後でトランボが認められるシーンは、まさに爽快でしかない。

■ストーリー
第二次世界大戦後、赤狩りが猛威をふるうアメリカ。その理不尽な弾圧はハリウッドにもおよび、売れっ子脚本家トランボは議会での証言を拒んだという理由で投獄されてしまう。やがて出所し、最愛の家族のもとに戻るトランボだったが、すでにハリウッドでのキャリアを絶たれた彼には仕事がなかった。

しかし友人にこっそり脚本を託した『ローマの休日』に続き、偽名で書いた別の作品でもアカデミー賞に輝いたトランボは、再起への道を力強く歩みだすのだった……。

■感想
ハリウッドで赤狩りが始まった。売れっ子脚本家であるトランボにも赤狩りの手が迫り、トランボは投獄されてしまう。刑期を終え出所しさえすれば、また脚本家として仕事ができるとトランボは考えていたのだが…。そこでトランボはハリウッドから干されてしまう。

今までトランボのことをちやほやしていた者たちは、みなそっぽを向いてしまう。トランボには脚本しかない。失意のトランボは、家族に迷惑が掛かったとしても共産主義を止めることはない。この信念こそがトランボのすごい部分だろう。

家族に迷惑をかけながらも、トランボは偽名で再起しようと試みる。ここで売れれば良いという商業主義の権化のような監督やプロデューサーに出会ったことで、トランボは救われることになる。才能がありヒットが望める脚本家であれば、たとえ共産主義者であっても登用する。

このドライさがよい。偽名を使って脚本を発表し、瞬く間にヒット作を連発する。ここで強欲なプロデューサーや監督は、トランボの考え方を支持することになる。ある意味、世間に話題になれば良いという思いもあるのだろう。

絶妙なタイミングで、トランボが脚本家だと発表される。となると、世間は大反発するのだが…。その時には、すでにトランボの脚本の魅力に世間は虜となっており、抑えることができない。ついには大統領までも、その作品をほめたたえたことで、トランボは認められることになる。

まさに才能が全てを凌駕した瞬間だ。ハリウッドがどれだけ赤狩りを徹底したとしても、才能を抑えつけることはできない。どこかでその才能が爆発しハリウッドですら制御できない大きなうねりとなるということだ。

ラストの流れは爽快だ。



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