2021.8.23 麻薬組織の壊滅はできない【トラフィック】
トラフィック
評価:3
■ヒトコト感想
麻薬をテーマとした作品。場面により青、黄色、無色と画面の色合いが変わっていく。黄色はメキシコで、メキシコの警官であるハビエールが組織の汚職に困惑する。青はアメリカで、麻薬撲滅運動を開始した対策本部長のロバートの活動がメインとなっている。
麻薬王カルロスが逮捕され、妻は家族の生活を守るために奔走する。麻薬絡みの組織は成熟しており、あらゆる場面で相互の助け合いがある。つまり、どだけ捜査官や警官が頑張ったとしてもやれることには限界がある。カルロスの裁判では、結局どれだけ刑事が証人を守ったとしても、殺されてしまいカルロスの裁判は終了する。捜査官たちは、それでも麻薬組織撲滅のために必死に様々な手段をもちいるのだが…。なんだかラストはむなしくなる終わり方だ。
■ストーリー
アメリカの麻薬対策本部長に就任したロバートはさっそく麻薬撲滅作戦を開始した。だが、自身の娘が麻薬に溺れていることを知る由もなかった。麻薬王カルロスは囮捜査官のゴードンに追い詰められ、彼の妻は家族を守るために悪の組織に深入りしていく。そしてまたメキシコ警察のハビエールは、組織の汚職を暴く決意を固めていた。
■感想
メキシコの警察のハビエールは麻薬の汚職を暴くはずが、思いのほか奥深くにまで入り込んでいる汚職の闇に愕然とする。相棒とまじめに麻薬の取り締まりをしていたのだが…。組織的に麻薬を撲滅するはずが、いつの間にか組織に取り込まれ、不正を強制されてしまう。
ハビエールは相棒のことを心配している。相棒の家族からも心配されている。そして、心配は現実のものとなる。組織の汚職を他者に情報提供しようとしたことで、組織に殺害されてしまう。ハビエールのなんともいえない微妙な立場と表情が強烈だ。
麻薬対策本部長であるロバートは、対外的に麻薬の撲滅を叫びながら、実は娘が麻薬におぼれている。皮肉なことだが、どれだけ麻薬撲滅に必死になったとしても、身近な娘すらも守れないということなのだろう。麻薬はすでに末端にまで入り込んでいる。
印象的なのは、捜査官のゴードンが麻薬の売人を逮捕し、カルロスの裁判へ出廷させようとした場面で、売人が告げる言葉だ。組織からは一生狙われることになり、その巻き添えとしてゴードンの相棒は殺されてしまう。ただ、麻薬でハイになる者が増える程度のことに必死になりすぎだと売人から言われてしまう。
カルロスの裁判が続く中で、カルロスの妻は夫が麻薬王だとその時になり始めて知る。強烈なのは、最初は夫を非難しつづけていた妻が、夫の真実を知り動き出す。自分たちの生活を第一に考え、夫の裁判を中止にさせるために、麻薬組織と駆け引きを繰り返す。それまでの、何も知らないセレブな主婦であった女が、組織の人間に対して脅したりもする。
ゴードンが逮捕した売人に対して殺害することを命令したり。。どれだけゴードンたちが必死に売人を守ろうとしても、最終的には殺されてしまう。
見終わった後のむなしさはすさまじい。
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