ドラえもんのび太の月面探査記


 2019.4.20      大人も楽しめるストーリーだ【ドラえもんのび太の月面探査記】

                     
ゲーム ドラえもん のび太の月面探査記
評価:3

■ヒトコト感想
ドラえもんの映画をまともに見たのは小学生以来だ。久しぶりに見たドラえもんは、思いのほかストーリーがしっかりしていたという印象だ。細かな伏線も利いており、大人が見ても楽しめる部分がある。子供向けにありがちな都合の良い部分だけでなく、整合性がとれるようにもなっている。

月で移動するマシンが壊れた時、のび太がバッテリー交換をしようとする。その場面でルカは超能力を使って直そうとするが、のび太の姿を見て、あえて一緒に泥だらけになりバッテリー交換をする。この些細なシーンがその後の感動につながる。おそらく、小学生には細かな仕掛けが伝わらないかもしれないが、製作者側のプライドのようなものを感じた作品だ。

■ストーリー
月面探査機が捉えた白い影が大ニュースに。のび太はそれを「月のウサギだ!」と主張するが、みんなから笑われてしまう…。そこでドラえもんのひみつ道具<異説クラブメンバーズバッジ>を使って月の裏側にウサギ王国を作ることに。そんなある日、不思議な少年・ルカが転校してきて、のび太たちと一緒にウサギ王国に行くことに。そこでのび太は偶然エスパルという不思議な力を持った子どもたちと出会う。

すっかり仲良くなったドラえもんたちとエスパルの前に謎の宇宙船が現れる。エスパルはみんな捕えられ、ドラえもんたちを助けるためにルカも捕まってしまう!はたしてのび太たちはルカを助けることができるのか!?

■感想
ドラえもんの映画は小学生時代にいろいろと見た。小学生にとってはワクワクドキドキに満ちた作品だ。それが、大人になるとどう感じるのか。多少、強引な部分があるにせよ、物語としてしっかり成立している。

月にはうさぎがいるということを無理やり成り立たせるため、ドラえもんが出した秘密道具が異説バッチ。瞬間的に、もしもボックスと同じなのでは?と思ったが、バッチを付けた人だけに異説が成り立つというのが重要だ。もしもボックスだったら、後半のくだりが説明できなくなる。

感動するポイントはいくつかある。ドラえもんとルカたちが、かぐや星人に襲われた時、どこでもドアで逃げる瞬間、ルカだけが月に残り仲間を助けようとする。ハリウッド映画にありそうな自己犠牲のパターンだ。それでいて、ドラえもんたちはルカたちを助けに月に宇宙船で向かおうとする。そこでも、夜7時に待ち合わせするのだが、危険が伴うので来れる人だけで良いと言う。当然、ジャイアンやのび太は躊躇なく向かうのだが、スネ夫だけが最後まで悩む。待ち合わせに遅れた時にスネ夫が「髪形が決まらなくてさ」というごまかしの言葉が良い。

かぐや星人との対決においても、悪役の中でもキャラ立ちしていた人物が仲間になるなど、定番を抑えている。そして、物語の肝となるのが異説バッチに対しての定説バッチという存在だ。おそらくだが、子供たちはほとんど意味を理解できなかっただろう。異説バッチで架空の存在を見ることができるが、定説バッチは、異説が定説になるというかなり複雑なつくりだ。

異説で作られたムービットたちが、自分たちで定説バッチを作り上げてしまう。なんとも複雑だ。

エンドロールで脚本を辻村深月が担当していることに、妙に納得した。



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