殿、利息でござる!


 2018.9.22      殿様に大金を貸し付ける農民 【殿、利息でござる!】

                     
殿、利息でござる!(初回限定版)【Blu-ray】 [ 阿部サダヲ ]
評価:3

■ヒトコト感想
実在した出来事を描いていることに驚いた。殿様への年貢にひいひい言う農民が定番だが、本作では、年貢を取り立てられる側の町民たちが殿さまに大金を貸し付け利息をとるという、夢のような話だ。これが現実にあった出来事ということに驚いた。宿場町の将来を考え、殿さまに貸す金を出し合う者たちの男気には圧倒されてしまう。

出演者は豪華で、ちょい役にも名の知れた役者が出演している。そして、ラストではこれらすべてが真実だったことを裏付けるような流れがある。殿さまに金を貸し付けるなんてことは、提案した時点で切り捨てられても文句はいえない。そんな危険なことも、勇気をだして行う町人たちには強烈な勇気をもらえる。

■ストーリー
" 金欠のため、百姓や町人へ容赦なく重税を課していた仙台藩。中でもさびれ果てた小さな宿場町・吉岡宿では、破産と夜逃げが相次いでいた。町の将来を心配する十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)から宿場復興の秘策を打ち明けられる。

それは、藩に大金を貸し付け利息を巻き上げるという、百姓が搾取される側から搾取する側に回る逆転の発想であった。計画が明るみに出れば打ち首確実。必要な資金は千両。現在の3億円という大金を水面下で集める、前代未聞の頭脳戦が始まった。

「この行いを末代まで決して人様に自慢してはならない」という“つつしみの掟"を自らに課しながら、さらに強欲お奉行の嫌がらせを乗り越えて、十三郎とその弟の甚内(妻夫木聡)、そして宿場町の仲間たちは、己を捨てて、ただ町のため、人のため、私財を投げ打ち悲願に挑む! ビンボー庶民の一世一代の大勝負! 結果はいかに―! ?"

■感想
仙台藩の殿さまに金を貸し付け、その利息を宿場町のために使おうと考える者たちがいた。まさに前代未聞の行動だ。殿さまに貸し付ける金額が現在の価値で3億。作中では、いちいち現在の価値に換算してくれるので、町人たちがいかに苦労して金を集めたかがよくわかる。

私財をなげうって貸付金にする。その結果得た利息が自分のものになるわけでもない。ということは、貸付金は一生帰ってこないということになる。まさに、宿場町のために自己犠牲の精神で自腹をきっているということだ。

私財をなげうつ流れの中で、誰それが一口だしたからと周りが噂をし始める。このことにより、名誉を重んじる者が、すすんで出資しようとする。名誉欲のために出資を願い出る者もいれば、純粋に町のためを思って出資する者もいる。

ただ、それらすべての者たちは、町のためを考えての行動ということだけは間違いない。言い出しっぺが一番大変だというのはわかる。後から相乗りした者たちは、それでも私財をなげうつというのは勇気がいることだ。ひとりあたま5千万というのは間違いなく大金だ。

殿さまへ貸し付けるには、勘定方に話を通さなければならない。その場面は強烈な緊迫感がある。一歩間違えれば切り捨てられていてもおかしくない。殿さまに金を貸して利息を得ようとするなど前代未聞だ。本作が実話というのは、その後の解説ではっきりとした。

そして、殿さまが何十年も利息を払い続けたということに驚かずにはいられない。町の発展のためという思いもあったのだろうか。殿さまの権力があれば、1年目ですべての借金を棒引きにする暴挙すらできたことだろう。

町人たちの自己の欲を捨てた行動には心打たれてしまう。



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