2020.8.3 新型コロナウィルスの世界を予言するような流れ 【ザ・スタンド5】
ザ・スタンド(5)[ スティーヴン・キング ]
評価:3
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■ヒトコト感想
闇の男の領土へ男たちはすすむ。スチューたちは危険な道のりとわかっていながら、死を覚悟して旅にでる。闇の男に勝つ何かがあるわけではない。ただ、マザーアバゲイルに言われたから旅にでるだけ。ただ、フリーゾーンの面々からするとマザーアバゲイルの言葉は絶対だ。コロナウィルスに翻弄される現代を予言するような世界の末期。遺伝子が変異するウィルスに耐性をもつ新人類が生まれれば人類の勝利。そうでなければフリーゾーンの人々には未来はない。
闇の男が思ったよりも普通であり、ラスボス感はすくない。スチューが途中のアクシデントで瀕死の重傷を負い、そこから生還するまではサバイバル感満載となっている。ウィルスに侵された世界でも、人類は生き残ることができるのだろう。
■ストーリー
西へ。闇の男の領土へと男たちは進む。行く手には闇と死だけが待っている―だが愛する者への思いがあれば恐くはない。世界の明日のために、闇の男を討ち滅ぼすのだ。善なる者も悪なる者も、最後の闘争の中で己の真実を見出し、そして…。世界最高の語り部が人間の普遍の強さを謳いあげた最高傑作、壮大な感動とともに閉幕。
■感想
スチューたちは闇の男と対決するために西へと向かう。バイクや乗り物を使うのではなく徒歩でというのがアバゲイルの命令だ。道中ではスチューが崖から滑り落ちて脱落する。残りの3人で闇の男の根城へとたどりつくのだが…。
ここで闇の男が思ったほど絶対的な何かがあるわけではないことに気づく。人の夢の中に入り込み相手を制御する闇の男。相対してみると、その神通力は確実に弱まっており、老婆であるマザーアバゲイルを極度に恐れている。闇の男のラスボス感が弱いのは意外だ。
闇の男は、あるひとりの男の核爆弾により消滅する。フリーゾーン側も犠牲をはらったが、闇の男側は崩壊してしまう。偶然にも途中で離脱したスチューのみが、旅にでた者の中で生き残ることになる。ここからのスチューのサバイバルがかなり読み応えがある。
足を骨折し満身創痍のまま身動きとれない。その状態でなんとか生き永らえたが…。知的障害のあるトムが偶然立ち寄らなければ、間違いなくスチューは野垂れ死んでいただろう。トムと協力しスチューは無事にフリーゾーンへと帰りつくことができるのだが、ここでのサバイバル具合もすばらしい。
無事フリーゾーンへと帰り着いたスチューを待っていたのはフランの子供だった。物語のポイントはフルーという特殊な流感で絶滅しかけた人類に未来があるか、という部分だ。生まれた子どもにフルーに耐性がなければ、今後の人類は死滅していくのみ。
新型コロナウィルスに翻弄される現代の人々の行く末を描くように、ウィルスは変異していく。ただ、そんなウィルスに対しても人間は変化し対応していく。その結果、フルーもただの風邪と同じようになる。まさに、新型コロナウィルスに対しても、新人類のみ対応できるのかもしれない。
壮大な物語は人類の勝利で終了した。
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