ザ・スタンド3 


 2020.5.30      生き残った者たちが集まるフリーゾーン 【ザ・スタンド3】

                     
ザ・スタンド(3)[ スティーヴン・キング ]
評価:3
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■ヒトコト感想
謎のウィルスでほとんどの人が死滅した世界で、生き残った者たちはどうするのか。本作では生き残りのハロルドとスチュアートの女をめぐる争いや、新たに登場したマザー・アバゲイルにより生き残った人々はひとつの場所に集まり始める。共同体ができると、秩序を守るために様々な方策がとられる。委員会を作り法のようなものも作ろうとする。

生き残った者たちが共通して見るのは、闇の男の夢。物語としては、アバゲイルが闇の男に唯一対抗できるという流れとなっている。ウィルス感染と闇の男がどう関係するのか。そして、スチュアートたちと決別し一時行方不明となったハロルドはどうなるのか。生き残った者たちは少数ながら社会を作り上げようとしている。

■ストーリー
夢に現われたマザー・アバゲイルは実在した。旅を終えた人々は彼女のもとに共同体“フリーゾーン”を築く。だがまだ安心はできない。“闇の男”の本拠ラスヴェガスにも悪の軍勢が着々と集結していたのだ。やつらの魔手は“フリーゾーン”内部まで届いている…。かりそめの平和が訪れる第三巻。最終決戦への布陣、ここに完了。

■感想
前作では生き残った者たちの中で少人数で固まりながら、他の生き残りを探し出そうとしている。それらの人々の中では、武器を手に入れ好き勝手に暴れまわる者たちもいる。武力で周りを支配する。数人の男たちで女を好き放題もてあそぶ。新しい女を見つけると、古い女は排除される。

薬物で女たちを言いなりにする狡猾な男たち。それらの男たちも、武器をもつスチュアートたちとの対決により、崩壊することになる。真っ当な精神をもつ者たちは、少人数のグループで集まり社会を築こうとする。

本作のメインはマザー・アバゲイルの登場だろう。ごく普通の老婆だったアバゲイルが神の啓示を受け、周りを導く。家族がウィルスにより死んだとしても、アバゲイルは周りを助けるために動き出す。少人数のグループの者たちは、皆で集まりアバゲイルを師事する。

スチュアートたちのグループもアバゲイルのフリーゾーンに合流し、そこで社会を築く。技術者が何よりも価値があり、電気を発電することが何より必要な社会。秩序を保つためにグループの方向性を決定する委員会のようなものまで作られる。

少人数のグループで移動すると人間関係のひずみは生まれてくる。ハロルドは幼馴染の女が自分のモノだと考えていたが、新たに合流したスチュアートに奪われるのではないかと気に病んでいた。本作ではその結果と過程が描かれている。

ハロルドはグループから外れることになる。そして、苦しい道中を経験したことで生まれ変わったハロルドがアバゲイルのいるフリーゾーンへやってくることに…。もはやウィルスで死滅した世界の話というよりは、生き残った者たちの物語となっている。

結末がどうなるのか、まったく想像できない。



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