ザ・スタンド1 


 2020.3.5      パンデミックの前ふり段階 【ザ・スタンド1】

                     
ザ・スタンド(1) 文春文庫/スティーヴン・キング(著者),深町真理子(訳者)
評価:2.5
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■ヒトコト感想
強烈な感染力をもつ新種のウィルスの物語だ。序盤では謎のウィルスによる死者が発生し、一部ではその強力な感染力と高い致死率のため危機感をおぼえる者がいる。一方でそれぞれ日常を過ごす者もいる。ウィルス感染する前にいくつかの登場人物たちのエピソードが詳しく掘り下げられている。

恋人が妊娠した男。相手の女は男に対して攻撃的になるなど、それだけでひとつの物語として成立するようなエピソードの数々が描かれている。刑務所の内部でも致死ウィルスは蔓延しており、必死で逃げようとする。一部の権力者のみがこの異常なウィルスの危機を感じ取ってはいるが、決して公にはしない。テレビ局を制御し、情報統制を行おうとするのだが…。少しつづほころびが見え始める。

■ストーリー
猛然たる致死率と感染力を持つインフルエンザ・ウイルスが漏洩した。それと知らず、それぞれの人生を真摯に生きる人々。未婚で妊娠した学生、突然の成功に惑うロックシンガー、人の暖かさを知った放浪の青年…彼らの流す絶望と悲嘆の涙のなか、静かに世界は死滅してゆく。巨匠畢生の超大作、壮大な滅びの物語を序曲に開幕。

■感想
ウィルス関連の話は序盤に登場し、本作が恐怖のウィルスの物語だということはわかる。章が変わるとウィルスとは無関係の人々の物語が描かれている。未婚で妊娠した学生は、妊娠を告げたときの恋人の態度が気にくわないため、恋人に対して辛く当たる。

恋人がどれだけ譲歩した態度をとったとしても、結局は何かしら鬱屈した思いが溜まってしまう。両親に告白しても、両親の態度はそれぞれ異なる。未婚の母としてやっていく気になっている学生は、親に対しても反抗的な態度を示す。この女学生がウィルスとどのような関係になっていくのか気になるところだ。

突然の成功に戸惑う者や、刑務所で死刑執行の判決を待つ者など、さまざま様々な人々が次におとずれるウィルスの恐怖の前振りとなっている。ここでそれぞれのキャラクターについて深く掘り下げることで、ウィルス感染が蔓延した際に、どのような物語が生まれてくるのか。

作中ではどれだけ周りがウィルス感染で死んでいっても、ひとりだけ感染せずピンピンしている者も存在する。医療関係者は事態の深刻さを重く受け止めているのだが、それだけに物語としては新種のワクチンを発明するしかない展開となっている。

人がバタバタと死に、次々とウィルス感染していく中で、人々は正しい情報を求めるようになる。テレビでは一時的にウィルスが蔓延したが、ワクチンが開発されたため、現在では収束状態にあると報道している。が、実際には現在進行形でウィルスは大きく蔓延している。

マスコミの中では、今起きていることを正しく報道しようと軍に統制されたテレビ局でクーデターを起こそうとする。生放送でウィルスの状況をあるがまま報告するのだが…。軍隊が武力行使し、圧倒的に制圧されてしまう。

まだ序盤のためウィルスの恐怖と、今後感染していく人々の物語が中心に描かれている。



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