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　2021.9.14 　　 　　間抜けな超一流の殺し屋【ザ・ファブル】

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ザ・ファブル
評価：3.5

■ヒトコト感想
原作マンガは序盤だけ読んだことがある。本作は自分が読んだことのある部分も含まれているので、原作との違いを楽しめた。キャストは原作のイメージ合ったすばらしいものとなっている。殺し屋ではあるが、間抜けな雰囲気をもつ佐藤アキラ。妹があまり活躍しないのは残念だが、豪華俳優陣での映像化にはかなり気合が入っていることがうかがえる。

特に印象的なのは柳楽優弥が演じた出所した男だ。まさに鬼畜というイメージがそのまま当てはまるようなキャラであり、恐ろしいほどの異常者具合が良い。それでいて、ラストでは拉致されボコボコにされ、最後には始末されてしまう。ちょっとしんみりするラストが良い。シリーズとして続編が作られていることを考えると人気があったのだろう。

■ストーリー
裏社会で「伝説」とまで呼ばれるスゴ腕の殺し屋“ファブル(寓話)”。仕事をしすぎた彼に、ボスが与えたミッションは、1年間誰も殺さず、一般人として生きるというものだった。ファブルは、佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコと共に、生まれて初めて一般人としての生活を始める。殺しを封じ、バイトをしたり、インコを飼ったり、いわゆる《普通》を満喫しはじめた矢先、裏社会の人間たちのトラブルに巻き込まれていく…。

■感想
凄腕の殺し屋だが、人間味がなく常識がない。その要素がサイボーグ的な怖さとなるのではなく、ちょっと間抜けに描かれるのが本作のポイントだ。冷酷非道でロボットのような殺人マシーンというのが殺し屋のイメージとしてはわかりやすい。

幼少期から山の中で殺し屋としての英才教育を受けてきた佐藤アキラが、少しだけ人間らいし、人を殺さない生活をしようとする。アキラが常識を知らず、周りが驚く場面は秀逸だ。枝豆を皮ごと食べるとか、サンマを頭からかぶりつくなど、それらの部分が間抜けに見えるのが本作の良い部分だ。

間抜けな面を見せながらも、殺し屋としての腕は超一流だ。目出し棒を被り、ひたすら敵を殲滅していく。たった一人で多くの敵に囲まれたとしても、周りの機器を利用しながらあっさりと切り抜けてしまう。本作に登場する敵キャラクターたちも秀逸だ。

フードを被りファブルを追いかけ続ける謎の殺し屋コンビ。出所して好き勝手に暴れまわる男。ヤクザではあるが義理人情に厚い男。ヤクザ内部での権力闘争に必死となり仲間を罠にはめようとする男など。アキラはそれらの有象無象たちに翻弄されつつも、無表情で対処している。

ファブルこと佐藤アキラは、人を殺さずに一般人として1年間過ごす必要がある。それを破るとボスに殺されてしまう。序盤では絡んできたチンピラに対してわざとやられて泣きだしてしまう。バイト先では天然なキャラとして押し通そうとする。面倒を見てくれるヤクザに対しても殺さないことを貫きとおす。

大量のヤクザたちに周りを取り囲まれたとしても、相手を殺すことなく切り抜けている。ぼんやりとした表情ではあるが、どこまで先を読んでの行動かわからないが、かなり俊敏な動きで相手を翻弄している。

このキャラと設定はかなり秀逸なので、今後も続いていくのだろう。