天使の涙


 2018.7.8      夜の街で五人の男女が交差する 【天使の涙】

                     
天使の涙 [ レオン・ライ[黎明] ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
かなり昔に見た覚えがある。再び見たのだが、金城武の若さに驚いた。そして、意外と印象的なシーンは覚えているのだと感じた。台湾の夜の町で5人の男女が織りなす物語。印象的なのは、間違いなく金城武が演じる、声を失った若者の物語だ。夜中に勝手に他人の店に入り込み無理やり客を連れてきて商売をする。

その強引さはすさまじく、その辺を歩ている男を無理やり引っ張り込み洗髪するなど常軌を逸している。ただ、若者が声をださないので、みな恐怖におののいている。その他には殺し屋の話や、殺し屋に恋する女、そして声の出ない若者が恋した女など、物語が交差するのがポイントだろう。ついさっきまでメインの男の隣を次に主役となる女が通る。この手の作品の走りかもしれない。

■ストーリー
顔も知らない女エージェントに惚れられ、殺し屋は彼女の前から姿を消す。そして、殺し屋に恋をしたもう一人の女からも去っていく。一方、失恋した女は、前の恋を忘れるまでの期限つきで、声を失った男と付き合う…。5人の男女の物語が交錯する。

■感想
台湾の夜に5人の男女が交錯する。かなり昔の作品だが印象的な場面は映像を見た瞬間思い出した。男と女がそれぞれの思いで動く。殺し屋は自分に殺しの指示をする女のことが気になる。直接顔を会わすことはないのだが、そこには恋愛に似た感情がある。

この殺し屋がステレオタイプの殺し屋で古さを感じた。拳銃を両手にもち、銃を横にして撃ちまくる。全身が黒ずくめで寡黙で影のあるタイプだ。まさに典型的な殺し屋だろう。わかりやすすぎる流れだ。

最も印象深いのは間違いなく声を失った若者だ。閉店後の店を勝手に開けて店主のふりをする。そんな店に客はくるはずもないのだが、強引に連れ込んでソフトクリームを食べさせたり、勝手に洗髪したり。まさに無茶苦茶な状況だ。

声が出せないだけで別に知能が低いわけでもない。恋もするし、喧嘩もする。そんな若者の初恋の相手は、恋人にふられ、人生のどん底にある女性だ。この二人は決して交わることない平行線をひたすらまっすぐに進んでいるような感じだ。

見ていくうちに忘れていたストーリーを思い出してきた。声のない若者の父親が死んだあとの若者の悲しむシーン。体育すわりをした状態でアイスを食べるシーン。ところどころでそのシーンを見たことを思いだしてしまった。

およそ20年以上前の作品だが、自分にとっては印象深い作品だったということだろう。今見ると映像の粗さやストーリーのありきたりさはある。それでも、キャラの個性には魅力あがる。本作を見てから台湾作品を結構見るようになったのは間違いない。

見ながら当時を思い出してしまった。



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