タリーと私の秘密の時間


 2020.6.10      子育てに疲れた妊婦とシッターの物語【タリーと私の秘密の時間】

                     
タリーと私の秘密の時間
評価:3

■ヒトコト感想
若いころは完璧で素晴らしい美貌で男にもモテてきたマーロ。3人目の子供が生まれ、子育てに奔走しているマーロだが次第に心が折れていく。世の中の女性は本作をどのような思いで見るのだろうか。若いころはイケイケでも、今の自分が子育てに疲れた風貌をしていることに絶望するのか。マーロの兄が頼んだベビーシッターのタリーは若く輝いている。タリーと比較し自己嫌悪に陥るマーロ。

タリーの若く美しい姿がマーロの心を変える。産後鬱のような症状であるマーロ。夫のサポートがないことも本作では強烈に描かれている。世の女性たちはマーロと同じような気分なのだろうか。最終的に、マーロはタリーが存在した意味に気づく。男としては考えさせられる作品だ。

■ストーリー
「わたし、ひとに頼れないの」──仕事に家事に育児と、何ごとも完璧にこなしてきたマーロだが、3人目の子供が生まれて、ついに心が折れてしまう。そんな彼女のもとに、夜だけのベビーシッターがやって来る。彼女の名前はタリー、年上のマーロにタメグチで、ファッションやメイクもイマドキ女子だが、仕事ぶりはパーフェクト。

荒れ放題だった家はたちまち片付き、何よりマーロが笑顔と元気を取り戻し、夫のドリューも大満足だ。さらにタリーは、マーロが一人で抱え続けてきた悩みの相談にのり、見事に解決してくれる。だが、タリーは何があっても夜明け前に姿を消し、自分の身の上は決して語らない。果たして彼女は、昼間は何をしているのか? マーロの前に現れた本当の目的とは?

■感想
二人の子供を抱えつつ三人目を妊娠中のマーロ。まず、子供のひとりが学校になじめず、特別な支援学校に転校することを教師からアドバイスされる。大きなおなかをかかえながら車を運転し毎日子供を送り迎えするマーロ。子供はいうことを聞かず日々が嵐のように過ぎ去っていく。

夕食も作る気力がなく冷凍食品ですませている。子供たちが食卓に座っている目の前で、冷凍の野菜をレンジでチンして袋からバサリと皿にぶちまける姿は、マーロの疲れ切った日々を如実に現わしている。

マーロが疲れ切っていることを知りマーロの兄が夜だけベビーシッターを手配した。3人目の子供は手がかかり、熟睡できないマーロはベビーシッターを頼むことにした。ここで、父親は何をしているかというと仕事で出張ばかりで家にあまりいない。

家にいたとしても夜はひとりベッドに横になり、ヘッドホンをしてゲームに夢中になる。となりではマーロが子育てに必死となっているが、ほとんど干渉しない。このことにマーロは怒るわけではない。夫婦関係はうまくいっているという。なんだかマーロの姿を見るといたたまれなくなる。

タリーは若く美しく仕事も完璧にこなす。マーロは女としてすべてタリーに負けていると考える。自分の若い頃を思い出し、今の太って体型が崩れた姿に絶望する。タリーは平凡な家庭と子育てこそが成功だとマーロをなぐさめるのだが…。

マーロとタリーは子供を家に置いて夜中に飲みに出る。その帰りにマーロは運転をあやまり事故を起こす。マーロの自暴自棄っぷりはタリーの存在にある。ただ、タリーは実はこの世には存在していなかった。すべてはマーロが心の中で作り上げた存在だった。

世間にはマーロと同じ思いでいる女性は多いのだろう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp