2019.10.28 タワマンでにぎわう武蔵小杉も登場 【探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます】
探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます[ 東川篤哉 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
探偵少女シリーズ。このシリーズの売りはなんといっても神奈川県の武蔵溝ノ口だろう。自分も隣の武蔵新城に住んでいたとことがあり、作中でも地元民であればよくわかる記述が多数あるのがよい。基本は名探偵の家系で育った少女が事件を解決するが、10歳の少女なので代わりに主人公である良太が謎を周りに説明するという流れだ。
武蔵溝ノ口以外の個性としては弱い。巻き起こる事件についても目新しいものでもなくトリック的にも特に新しくもない。そのため、川崎や武蔵溝ノ口近辺になじみがない人にとっては、ただのライトミステリーと感じるだろう。少女が絡んでいるので学校の運動会が事件の舞台となったりもするのだが…。特別な面白さはない。
■ストーリー
「この事件の謎は、絶対あたしが解き明かしてやるんだから」勤め先のスーパーをクビになり、地元・武蔵新城で『なんでも屋タチバナ』を始めた俺、橘良太。三十一歳。独身。長所、特になし。特技は寝ること。最近は、隣駅の溝ノ口に住む名探偵一家の主・綾羅木孝三郎がお得意様。娘の綾羅木有紗の子守役を仰せつかっている。しかしこの有紗、10歳にして名探偵を気取っており、俺が依頼された事件にことごとく首を突っ込みたがる。そんなある日、孝三郎の代わりに有紗と高橋さん一家の奥多摩バーベキューに付き添っていたら、なんと溺死体に遭遇してしまい……! ?美少女探偵×ヘタレ三十路男による爆笑必至のユーモア・ミステリー
■感想
武蔵溝ノ口を舞台としているので地元アルアルが満載だ。特に最近では武蔵小杉がタワマンのおかげで発展したため、小杉との対比を面白可笑しく描いている。良太は何でも屋で、ことあるごとに名探偵の綾羅木孝三郎から呼び出され、娘である有紗の面倒を見るように依頼される。
有紗は10歳であり、かっこうもあえて目立つようなロリ系の格好をする。定番としては良太が有紗を連れていると、他者から幼女誘拐だとか変態に思われるパターンがある。有紗もそれを即座に否定しないため、より良太は辛い立場に追い込まれてしまう。
本作では短編が4つ収録されている。運動会で金の時計が盗まれた事件やキャンプでの人の入れ替わりトリック。お笑い芸人の相方が殺された事件などもある。作者の他作品と差別化を図るとしたら探偵役が少女というところと武蔵溝ノ口くらいしかない。
少女だから特殊な状況になるかというとそうではない。ライトなミステリーのため、トリックの複雑さやネタが判明して大きく驚くというのはない。有紗のキャラも特別ではなく、良太とのやりとりで物語に特徴をもたせようとしている。
割と古典的なトリックもある。ただ有紗が小学生ということで運動会を舞台としたトリックもある。定番だが良太がロリコンと間違われ、依頼があったとはいえ、ビデオカメラを構えていると変態に間違われるパターンだ。ある意味定番かもしれないが、本作のポイントなのだろう。
シリーズとしての面白さはあるのだが、特にこのシリーズだからという特徴は弱い。武蔵溝ノ口が面白ポイントとなっており、自分も近辺に住んでいたので楽しんで読むことができた。
武蔵溝ノ口を舞台にしていなければ、楽しめなかっただろう。
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