小説 シライサン 


 2020.10.28      名前を聞くと眼球が破裂する話 【小説 シライサン】

                     
小説 シライサン[ 乙一 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
ホラー作品。昔の「リング」のように、呪いが連鎖する物語だ。怖い話を聞き、そこでキーワードである恐怖の元凶の名前を聞いてしまうと、その後、眼球が破裂し心臓発作で死んでしまう。「シライサン」という言葉を聞いてしまうと、何日か後にシライサンが登場し、シライサンを見た者はその恐怖で心不全を起こす。

死体の眼球が破裂していることのインパクトが強いのだが、眼球の破裂は死因とは関係ない。心不全での死亡ということの恐怖よりも恐怖の話を聞き、そこからシライサンが登場するまでの恐怖がすさまじい。聞いたら呪われると知りながら聞いて調査しようとする者まで登場する。「リング」的に呪いから抜け出す方法がないわけではない。

■ストーリー
親友の変死を目撃した山村瑞紀と、同じように弟が眼球を破裂させて亡くなった鈴木春男。それぞれ異様な死の真相を探る中、2人は事件の鍵を握る富田詠子から、ある怪談話を聞かされる。それは死んだ2人と詠子が旅行先で知った、異様に目の大きな女の話だった。女の名を頑なに告げなかった詠子だが、ひょんなことからその名を口に出してしまう。「お2人は…呪われました」―その日から瑞紀たちの周囲でも怪異が起き始め…。

■感想
親友が目の前で眼球を破裂させて死亡する。そんな強烈な経験をした瑞紀と弟を同じくシライサンの呪いで亡くした春男が呪いの真相を調査する。事件のカギをにぎる富田詠子から怪談話を聞かされるのだが…。

異様に目が大きい女の話というのを頭の中で想像すると恐ろしくなる。名前を聞いてしまうと呪われる。それを知りながら、どうしても知りたくなる。「シライサン」という言葉を聞いてしまうと、呪われ、何日後かには呪いで眼球を破裂させ死亡してしまう。

物語は瑞紀たちの現代と並行するように、シライサンの話が作られた原因のようなものも語られている。ただ、どうしても「リング」的な印象がぬぐえない。不幸な出来事の連鎖から、人の恨みにより呪いが発生する。

「リング」に近い形ではあるが、呪いのビデオと呪いの話であれば、どうしても話の方がありきたりに感じてしまう。ただ、名前を聞かない限りは呪われないということと、呪われたとしても、シライサンが現れて、目の前に迫ったとしても相手から目を離さなければ眼球は破裂せず心臓発作を起こさない、というのがある。

一度、シライサンの呪いから逃れることができたとしても、数日後には同じようにシライサンが現れる。まるで、どこかの昔話のように、シライサンから目をそらさせるように、大事な人から声を掛けられることがある。それにつられて、シライサンから目を離してしまうと…。

リング的な内容であることは間違いない。ただ、ネット社会においてはシライサンの話が日本中に伝搬していく。そこでも話の内容が少しつづ改変されていることで呪いが効力をはっきしなかったりもする。

シライサンとカタカナにされると恐ろしくなる。



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