スターリンの葬送狂騒曲


 2021.1.5      あさましい権力闘争【スターリンの葬送狂騒曲】

                     
スターリンの葬送狂騒曲
評価:3

■ヒトコト感想
ソ連の最高権力者であるスターリンが死亡した。その時、どのようなことが起きたのか。独裁者が死亡すると、その権力を奪おうとスターリンの幹部たちがそれぞれの思惑のもとに動き出す。権力バトルは表向きは、スターリンの死を悲しんではいるが、皆心の中で何を考えているのかわからない。スターリンの死をいち早く察知したベルヤが幹部たちの秘密が書かれた手帳を手にするのだが…。

それぞれが管理する部分での駆け引きと、どのようにして相手の失態を見つけ出すかにやっきになる。スターリンの死をそっちのけで、ひたすら相手を追い落とすことだけを考える。権力闘争とはこんなものなのだろう。悲しいかな、勝ち残った者は、新たに登場した権力者に粛清される宿命にある。

■ストーリー
1953年、ソ連の最高権力者スターリンが死亡。“粛清”という名の大量虐殺による恐怖で全てを支配してきた独裁者だ。今こそ彼の後釜につくチャンスだと色めき立つ側近たちの、互いを出し抜く卑劣な駆け引きが始まり、権力バトル開始のゴングが鳴った!表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、スターリンの腹心だったマレンコフ、中央委員会第一書記のフルシチョフ、秘密警察を牛耳るベリヤが3大トップとなり、各大臣、ソビエト軍の最高司令官ジューコフまでもが参戦し、嘘と裏切り、仕掛け合う罠―勢力地図は1秒ごとに目まぐるしく塗り替えられ、国を担うはずの男たちの“なんでもあり&やったもん勝ち”のゲスな本性が暴かれていく―。

■感想
スターリンが倒れたと知ると、ソ連の幹部たちは素早くスターリンの元に駆け付ける。ここで、スターリンの死を知る下っ端の者たちはあっという間に粛清されてしまう。恐ろしいまでに独裁的な権力者たちだ。自分が権力を握ることだけを考え行動する。

スターリンの子供たちについても、子供たちの言葉を尊重しながらも、スターリンが死んだとわかるとつれなくする。次の権力者にとってはスターリンの子供は邪魔でしかない。殺されないだけマシなのかもしれない。

鉄道を管理するフルシチョフ、秘密警察を牛耳るベリヤ。表向きはスターリンの後継者とされた腹心のマレンコフ。マレンコフだけが純粋にスターリンの死を悲しみ、権力に対する欲望もない。それを利用しフルシチョフとベリヤの駆け引きが始まる。

何をするにしても、幹部たちの多数決が必要なのだろう。マレンコフを傀儡として、フルシチョフは軍の最高司令官のジューコフを引き入れてベリヤを始末しようとする。なんでもかんでも勝手な理由をつけて幹部たちを仲間に引き入れた者が勝つというとんでもない世界だ。

勝手な容疑を擦り付けられたベリヤは秘密警察に助けを呼ぶ前に、軍に邪魔をされて殺されてしまう。つい、数日前はすべての権力を握ると思われたベリヤがあっさりと殺されてしまう。すべてはフルシチョフが裏工作がうまかったということなのだろう。

民主主義でないと、ここまで好き勝手にできるのかという恐ろしさを感じてしまう。また、権力者は次に自分が追い落とされる番だという恐怖感を常にもちながら日々をすごさなければならないのは辛い。

結局、フルシチョフもブレジネフに追放されてしまう。



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