サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶


 2018.5.5      自分の記憶探し 【サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶】

                     
サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶
評価:3

■ヒトコト感想
自らの虐待体験を書籍化し有名作家となったスティーヴン。しかし、メディアでの取材の前で、死んだはずの父親が現れ、スティーヴンを嘘つきと告発する。スティーヴンの名声は一気に地に落ちる。そして、スティーヴン自身の記憶の曖昧さから、父親が嘘をついていると思い込むスティーヴン。真実の記憶は何なのか。自分の過去の虐待の記憶は何だったのか。

スティーヴンの自分の記憶探しの物語となっている。父親との関係のまずさは根本にあるのだが、誰が嘘をついているのかが物語のポイントなのだろう。観衆は、誰が嘘をつき、誰が物語を改変しているのかを興味の対象としている。後半になり、すべての真実が明らかになった時、すべてがすっきりする。

■ストーリー
幼少期に父親から虐待を受けた体験記を発表し、成功を収めた作家のスティーヴン。しかし、死んでいるはずの父親が現れて体験記の嘘が暴露され、彼のキャリアは一転して窮地に立たされるのだった…。

■感想
父親に虐待された記憶を書籍化し、大ヒットした作家のスティーヴン。自らの体験記を切り売りした形で売れたスティーヴンだが、その時、実の父親が登場し、スティーヴンの体験記はすべて嘘だと暴露する。とたんに、スティーヴンは嘘つき作家呼ばわりされ、メディアから叩かれることになる。

さらには、出版予定の書籍も白紙となる。スティーヴンは、まったく嘘をついているつもりはない。そのため、父親がでまかせを言い、自分を陥れようとしたと考えてしまう。この流れが根本にある。

スティーヴンは自分の記憶が誤りなのかと疑い始める。過去の記憶を紐解いても、断片的に父親から虐待されるシーンを思いだすことができる。そのたびに、父親はスティーヴンの記憶の改変を指摘してくる。父親とスティーヴンの関係は悪い。

目の前で父親が心臓を抑えて倒れたとしても、無視して逃げ出そうとするくらいだ。そんなふたりが、いつの間にか会話するようになり、すべての真実が明らかとなる。自分が信じ込んでいたことは、すべて作られた記憶であると知った時の衝撃はすさまじいものがあるのだろう。

スティーヴンの救済の物語といえるだろう。父親との関係や、幼少期の体験を元にして改変してきた記憶。それをすべて明らかとするためには、父親との関係修復は必須条件だ。そんな状態でスティーヴンは父親と和解することで、真実を手に入れることになる。

幼少期のひどい出来事を、無意識に改変することはあるのだろう。特に幼児期の体験をなかったことにするのはありそうだ。スティーヴンはそれをネタとし、いちやく有名人となったから、そこに歪が生じてきたのだろう。

人の記憶はどのように都合よく改変されるかわからない。



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