それでも夜は明ける


 2019.3.21      あってはならない奴隷制度 【それでも夜は明ける】

                     
それでも夜は明ける [ キウェテル・イジョフォー ]
評価:3

■ヒトコト感想
奴隷制度の強烈な状況が描かれている。バイオリン奏者のソロモンが誘拐され奴隷にされる。簡単にこんなことが起きるのが、当時の恐ろしさだろう。黒人というだけで奴隷として人間的な扱いを受けない。黒人を資産と考え、モノとして扱う。そこに同じ人間としての人権はない。

ソロモンが何度この状況から脱出するために動こうとしても、必ず邪魔が入る。奴隷仲間たちがひどい扱いを受ける中でも、ソロモンはひたすら耐え忍ぶ。人間の尊厳を失うことはどのようなことなのか。本作が実話をベースに描かれていることに衝撃をうける。白人たちの奴隷の扱い方は、当時としては当たり前だったのだろう。時代の恐ろしさを感じずにはいられない作品だ。

■ストーリー
1841年、ニューヨーク。家族と幸せな日々を送っていたバイオリン奏者ソロモンは、ある日突然誘拐され、奴隷にされる。彼を待ち受けていたのは、狂言的な選民思想を持つエップスら白人による目を疑うような差別、虐待、そして“人間の尊厳"を失った数多の奴隷たちだった。妻や子供たちと再び会うために生き抜いた11年8カ月と26日間とはー。

■感想
当たり前に黒人が奴隷として売り買いされる時代。バイオリン奏者のソロモンが誘拐され奴隷として売られる。よく考えると、普通に生活している人が突然拉致され、中国で奴隷として売られるのと同じような感じかもしれない。何を言っても通用しない。少しでも逆らうと激しい虐待がまっている。そんな状況におちいると、人は思考停止におちいるのだろう。

誘拐されたソロモンが妻や子供たちのもとに帰るまでを描いた本作。時代の恐ろしさを感じずにはいられない作品だ。

黒人奴隷の扱いはすさまじい。奴隷を買う場面では、家族などお構いなし。子供と離れ離れになる女奴隷もいる。小さいこどもはどうなるのか…。買われた奴隷は主人の人間性によりその扱いは大きく変わっていく。理解ある主人の場合は、かろうじて人間的な生活ができる。

白人の中には、主人の考え方に反発し、黒人を人間として扱わない者もいる。黒人と白人は根本的に違う。まるで黒人を家畜のように扱う。ある日、家畜に意見されたとしたら、白人は怒り狂い家畜を殺そうとするのだろう。

ソロモンは何回か家族の元に手紙を出そうとするが、ことごとく邪魔され密告されてしまう。人間の尊厳を失うと、人は死を願うようになる。ソロモンだけは希望を胸に、決してあきらめることはない。そんな時に奴隷制度に反対する白人と出会うことで…。

白人の考え方もそれぞれなのだろう。つい200年近く前に、同じ人間にすさまじい差別があったことには驚かずにはいられない。日本人であれば、あまり黒人奴隷について意識することはないが、本作を見ると強烈に衝撃を受けることだろう。

奴隷制度は絶対にあってはならない。



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