そらのレストラン


 2021.1.21      大自然にかこまれた生活【そらのレストラン】

                     
そらのレストラン
評価:3

■ヒトコト感想
北海道の大自然に囲まれて、自然の中で生活することの良さがこれでもかとアピールされている物語だ。朝起きると自家製のチーズをのせたピザトーストと新鮮な野菜、そしてとれたての牛乳を朝食とする。周りには気心の知れた仲間たちがそれぞれ自然を相手にした仕事をしている。有名シェフがこの地を訪れ、食材を試食しそのおいしさに唸るほどだ。

酪農を営む亘理を中心として物語はすすんでいく。チーズ職人関係のゴタゴタはあるのだが、基本は大自然で生活することのすばらしさが描かれている。合間に登場してくるおいしそうな料理がポイントだろう。素材の味をそのまま楽しむも良し、有名シェフが凝った料理を作るのも良い。思わず食べたくなる料理ばかりだ。

■ストーリー
今日も食卓に、明るい声が響く。ここは道南・せたな町。海が見える牧場で酪農を営む亘理は、妻のこと絵、一人娘の潮莉とのしあわせな家族3人暮らし。自然に寄り添った食を追求する仲間たちに囲まれ、厳しくも美しい大地で楽しい日々を送っている。亘理の夢は、自分の牧場の牛乳で、この地でしか食べられないチーズを作ること。でも師匠のチーズ職人・大谷にはまだ追いつけず、落ち込んだり奮起したりの繰り返しだ。

ある時、札幌から訪れた有名シェフ・朝田に自分たちの食材を激賞され、亘理は一つのアイデアを思いつく。それは、せたなの おいしいもの を広く届けるため、一日限定のレストランを開くことだった。だが、納得ゆくチーズが完成せず思い悩んでいたある日、突然大谷が倒れ……。

■感想
北海道の南・せたな町。牧場で酪農を営む亘理は、妻と一人娘と暮らしている。自然との共存。都会の生活に疲れた人がうらやむような自然と一体となった生活。朝から自家製のチーズや牛乳を飲み、近所の農家からおすそ分けされたであろう野菜などで朝食をとる。

幸せいっぱいの家族だ。序盤では自然に寄り添う生活に慣れない都会の若者が羊を育てることに四苦八苦する部分がメインだ。自分が育てた羊の肉を食べることができない。作中では育てた畜産物をしっかりと食べることが正しいという考え方だ。

亘理のチーズ作りの師匠でもある大谷が亡くなった。落ち込む亘理だが、前を向いて動き出す。チーズを作ることの難しさ。自然と寄り添うことの大変さ。良い部分だけをとりたててアピールしている本作だが、大変な部分も描かれている。

ふらりとせたな町にやってきた有名シェフの朝田が、地元の食材を使っておいしい料理を作る。まずこの料理がむちゃくちゃ凝っていて旨そうだ。シンプルに素材の味を活かすのも良いのだが、良い食材に手をかけてより良くする。こじゃれた雰囲気も良い。

亘理は仲間たちと共にそらのレストランを開店する。地元民しかこないレストランなので、採算を考えると無謀なのだが…。本作ではそんなことを考えるのは無粋なのだろう。脱サラして自然に寄り添う仕事をしたい人にとっては、本作はまさに理想的な環境なのだろう。

究極は自給自足だが、仲間たちで食材をもちよって自由気ままなレストランを開くなんてのは、夢のようだ。現実にはここまで明るく楽しくホンワカとした日々ではないのだが、思わずあこがれてしまうのは間違いない。

出てくる料理のひとつひとつが強烈にうまそうだ。



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