忍びの国


 2019.6.27      伏線が利いている忍者モノ【忍びの国】

                     
「忍びの国」
評価:3

■ヒトコト感想
伊賀忍者をテーマとした戦国モノ。コミカルな雰囲気からコメデイタッチを想像していたが、後半はシリアスな物語となっている。伊賀一の忍者である無門はやる気がなく、金が絡まなければ仕事をしない。この無門の飄々としたキャラが良い。その気になれば殿様の部屋に入り込み暗殺もできるほど凄腕だが、金が手に入らないとわかると逃げ出してしまう。

織田が伊賀の国に攻めてくるとわかると、無門はいちもくさんに逃げようとする。伊賀の国のお偉いさんたちの策略に踊らされた形の忍者たち。作中では身内が死のうがまったく気にしない、血も涙もない忍者たちという描き方をされている。そんな伊賀の国に愛想を尽かせた者もいる。主演はさておき、ストーリーはシリアスでよくできた作品だ。

■ストーリー
和田竜の同名小説を大野智主演で映画化した戦国エンタテインメント。伊賀忍者・無門は凄腕の持ち主だが、普段は無類の怠け者。ある日、伊賀忍者の下山平兵衛が手引きを行い、織田軍が伊賀討伐の兵を挙げる。

■感想
嵐の大野が主演する忍者映画。伊賀の凄腕忍者である無門は金だけを目的に仕事をする。金がでないとわかると逃げ出してしまう。そんな無門は、最初に伊賀内部の争いに入り込み”川”という対決を行う。これが本作の印象的な場面だ。

両側に線を引き、その間だけで二人の忍者が対決する。敗れた方が真ん中に倒れる様が上から見ると川の字のように見えるかららしい。無門は川で相手の村の棟梁の次男を殺害する。ここから織田家と伊賀の国の争いへシフトしていくのだが、かなり初期から伏線がきいているのが良い。

織田家の次男は甲斐の国を攻め滅ぼそうとする。ただ、そこには甲斐の国の策略があると見抜く優秀な武将もいる。織田家の内部不和を狙いつつ、大善という凄腕の武士が出兵しないよう策略を練る。それらにマンマとはまりこむ織田家。

本作全体として、甲斐の国の重鎮たちは常に先の先を考え、味方さえも騙しながら策略を練っている。ただ、そこで予想外なことが起きるのは、無門の存在があるからだ。無門は単独でも織田家の次男を暗殺ができる。それらの依頼を実行するために、無門は暗躍する。

甲斐の国の重鎮たちの策略に気づいた無門は、織田家の次男の殺害を諦める。周りの忍者たちの人を人と思わぬ行動の数々に怒りを高め、甲斐の国は滅びたらよいと考える。物語としての伏線が利いている。

序盤から終盤までしっかりとストーリーが出来上がっている。途中ではコミカルな演技があるが、一対一の対決では、相手が死ぬまで闘い、シリアスな場面が続く。ラストも織田家に甲斐の国が滅ぼされるのだが、無門だけは生き残り、別の道を歩んでいく。

油断していたが、結構しっかりとした作りの物語だ。



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