2020.7.1 ただの使用人が絵のモデルとなる【真珠の耳飾りの少女】
真珠の耳飾りの少女
評価:3
■ヒトコト感想
フェルメールの有名な絵がどのようにして描かれたのか。あの真珠の耳飾りの少女は、実は使用人を描いたものだった。フェルメールの家に使用人としてやってきた少女グリートを描いたのだが、その前段にはさまざまな葛藤があった。絵を完成させるため、当初は妻をモデルとするはずだったのだが…。
グリートがあまりにも美しいためにフェルメールはグリートを選ぶ。嫉妬に狂う妻。家長は絵を完成させることを優先するためにグリートに肩入れしたりもする。非常に複雑な人間関係だ。ありきたりなパターンとして、使用人のグリートは家の娘にいじめられたりもする。そして、高級な髪飾りをグリートが盗んだとぬれぎぬをきせられたりもする。
■ストーリー
1665年、オランダ。天才画家フェルメールの家に使用人としてやってきた少女グリート。しかし彼女はその色彩的才能を見出され、やがて弟子として画家に想像力を与えるようになる。主人と使用人としての距離を保ちつつも、次第にお互いが本能で理解しあえる運命の相手だと気づくふたり。募らせる想い。だが、そんなふたりの関係に嫉妬する画家の妻、狡猾な策略を巡らせるパトロンが許すはずもなく、少女は画家と芸術のためにその身を危険にさらすことになる…。
■感想
フェルメールの真珠の耳飾りの少女はどのようにして描かれたのか。家が貧乏で身売りのような形で使用人としてやってきた少女グリート。厳しい仕事を押し付けられ、必死で仕事を続けるグリート。ただ、グリートの美しい美貌にフェルメールが気づいてしまう。
フェルメールの作業を手伝うことになるグリートだが、そこから次第にふたりは心をかよわせていくことになる。明らかに当初のモデルよりもグリートの方が美しい。作中でも、徐々にモデルとしてグリートを選ぶという流れが作り上げられている。
フェルメールの妻はふたりの関係に嫉妬する。だが、そこに家長である妻の母親の存在がある。画家としてのフェルメールを成功させることを何より重視する家長として、フェルメールを支援する。自分の娘であり画家の妻である女よりもグリートの方が美しいことを認めており、モデルとして成立するよう支援する。
究極的なのは、娘が大事にしていた真珠の耳飾りを、娘がいない間にグリートに使うように言い、フェルメールの絵のモデルとさせる。合理的な考え方であることは間違いない。
有名な絵画がどのようにして描かれたのか。モデル問題やフェルメールのモチベーションなど、さまざまな要素が絡んでいる。さらには、パトロンから依頼された絵をどのようにして描くかというのが最重要ということがわかる。家としては死活問題なのだろう。
パトロンから認められるためにはすばらしい絵を描くしかない。そのためには、家族の下手なプライドはすべて捨てさるしかない。使用人であろうとモデルにぴったりの者がいれば、抜擢するのは当然だろう。
有名絵画の真実がここにある。
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