新聞記者


 2021.5.29      政権に都合の悪い情報は隠される【新聞記者】

                     
新聞記者 [ シム・ウンギョン ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
安部政権の実際のスキャンダルを元に、架空の政権と内閣情報調査室の官僚を描いた物語だ。政権に関する大きなスキャンダルが世にでると、必ず責任を取る形で誰かが自殺する。本作ではそれらをリアルに描いている。主役は内調の若手官僚である杉原だ。正義感にあふれているが、上司の命令で政権に対して不都合なニュースをコントロールする。

twitterにデマを流し国民を先導する。都合の悪い記者に対しては、スキャンダルを見つけ出し排除する。杉原の元上司である神崎が、突然自殺する。政権のスキャンダルに加担したことに耐えられずビルの屋上から身を投げる。恐らく、似たようなことは現実にもあるのだろう。新聞記者の吉岡がスキャンダルに切り込んでいく。

■ストーリー
東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。

真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる!

■感想
新聞記者の吉岡は政権のスキャンダルの情報を手に入れる。父親が新聞に誤報をのせたことで自殺したことがトラウマとなっている。スキャンダルの取材で吉岡は杉原に近づく。吉岡が自らのtwitterで情報発信することで世間の流れに反抗しようとする。

一方杉原は、上司からの命令でニュースをコントロールするため、様々な情報をでっち上げている。杉原と吉岡のtwitterを見る場面が対比となっている。吉岡は自分の信念を発信しているが、杉原はデマを発信し情報をコントロールすることに嫌悪感をおぼえている。

杉原は正義感にあふれており、国民のために尽くすということを信念としている。尊敬する元上司の神崎が何かしらの責任を取らされていると知ると…。政権のスキャンダルは必ずトカゲのしっぽ斬りを行う。神崎は政権の不正にかかわることに耐え切れず…。

東都新聞社に政権のスキャンダルを送ったのは神崎だった。そして、神崎は良心の呵責から自殺することになる。このことが杉原を変えていく。物語として正義の杉原が上司の命令を無視して吉岡に情報を提供し、最後には自分の名前を情報提供者として出してよい、とまで言う。

ラストの展開は衝撃的だ。上司から、杉原が希望する外務省へ戻すと伝えられる。家に帰ると生まれたばかりの子供と妻がいる幸せの生活がある。杉原はすべての情報を撤回するのか。そうした場合、吉岡は梯子を外された形となるので、新聞の一面に誤報をのせたとたたかれることになる。

杉原が実名を出して告発した場合は、どうなるのか。。。恐らくは政権はビクともせず、何かしら別の手段でもみ消すのだろう。となると杉原は無駄死にとなる。ラストの場面は杉原が神崎と同じように自殺するように思えてしまった。

強烈なインパクトのある作品であることは間違いない。



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