セトウツミ


 2019.2.23      この無駄な時間こそ青春だ 【セトウツミ】

                     
セトウツミ [ 池松壮亮 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
どこにでもいるごく普通の高校生ふたりの日常が描かれている。冒頭からふたりの関係性がよくわからないまますすんでいくが、セトが狂言回し役でウツミがツッコミ役のようだ。物語はふたりの暇つぶしトークが続くことになる。青春時代独特の有り余る時間を無駄に消費している状態だ。

これが青春といえばそうなのだが…。短いエピソードが連続して続く形で、時にはヤンキーの先輩や、マドンナ的存在の樫村さんも登場してくる。ああ、青春ってこんな感じだったなぁと共感できるかもしれない。今ならば、こんなに無駄な時間を使わずにもっと限られた青春の時間をうまく使うのにと思ってしまう。青春の価値を知らないからこそ青春なのかもしれない。

■ストーリー
関西の男子高校生2人が時間潰しを繰り広げる、ボケとツッコミにあふれたクスッと笑える放課後の青春トーク。友達が少なく部活もやらない秀才、内海想(高杉真宙)は、塾に行くまでの空き時間を河原でぼんやり過ごしていた。そこに、サッカー部を退部して暇を持て余していた瀬戸小吉(葉山奨之)が現れた。寡黙でクールな内海と社交的でお調子者の瀬戸。性格は正反対の2人だが、“暇つぶし"という1点で互いの利害関係が一致し、放課後いつもの河原でダラダラと喋りながら一緒に過ごすようになる。

そんな2人にそれぞれ思いを寄せる女子高生、樫村さん(清原果耶)とハツ美ちゃん(片山友希)。さらに同級生の田中君(森永悠希)や馬場君、ゴリラ先生やヤンキー、謎のバルーンアーティストも登場して、内海と瀬戸の放課後トークはさらに冴えわたる。まったりと流れる日常。しかし、徐々に物語は意外な展開を見せていく・・・!

■感想
元サッカー部でボケ役のセト。クールで頭がよく見た目もよいウツミ。そんなふたりが放課後の時間つぶしのために無駄なしゃべりを繰り広げる。セトのくだらなさは強烈だ。セトとオカンのラインのやり取りにしても面白すぎる。セトとウツミが青春トークを繰り広げるその場に、謎のしょぼくれたおじさんがいた。

そのおじさんに対する話をしていると、ふたりが恐れるヤンキーがやってきて…。実はそのおじさんはヤンキーの父親だった…。なんだか妙にしんみりとする場面もあったりする。

セトは美少女の樫村さんのことが気になって仕方がない。そのことをウツミに相談するのだが…。セトは樫村さんとラインをやるが、樫村さんからはキモイと思われているという非常に悲しい状態だ。さらには、実はウツミはすでに樫村さんとライン友達になっていた。

物語の流れ的には、樫村さんはどうもウツミに恋しているらしい。ただ、ウツミの方はそこまで樫村さんに興味がない。セトはそのことを知らずにウツミに樫村さんの美少女っぷりをひたすらプレゼンしたりもする。これこそ青春だ。

物語は常にコメディタッチで進んでいく。失恋やトラブルなどが起きても、どこか笑ってごまかすような雰囲気すらある。ふたりが放課後をだらだらと過ごす場所は河原なのだが、その河原には様々な人々が集うことで物語の面白さとなっている。謎のバルーンアーティストは最高だ。時にシュールな笑いを交えながら、オカンネタやがっつりとした青春ネタまで。リア充とは違った雰囲気があるだけに、共感できる人も多いかもしれない。結局のところ寡黙でクールな方がモテるというのは微妙かもしれない。

青春独特の時間の無駄がよい。



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