セント・オブ・ウーマン/夢の香り


 2022.1.31      老害を体現したような盲目の老人【セント・オブ・ウーマン/夢の香り】

                     
セント・オブ・ウーマン/夢の香り [ アル・パチーノ ]
評価:3

■ヒトコト感想
アル・パチーノが盲目の気難しい退役軍人を演じる本作。高校生がアルバイトとして盲目の軍人の世話をする。ただ、家にいるだけでよいという話が、いつの間にか一緒にニューヨークへ旅行することになる。何も知らされないまま、軍人に引っ張られる形でニューヨークで様々な経験をする高校生。頑固爺というか、老害というか。明らかに一緒にいたくないタイプの老人だ。

さらに、盲目でありながら余計なプライドがあるのでいちいちめんどくさい。女好きであり、他者に対して厳しい。高校生がバカにされたと知ると、怒り狂ったりもする。位の高い軍人であったが、ある出来事をきっかけとしておかしくなっていく。最終的には死ぬための旅であったが、高校生に影響され。。。ラストは感動的だ。

■ストーリー
名門高校生と盲目の退役軍人との心の交流を通して、人生の分岐点に立たされた人々の心情を描いた感動ドラマ。

■感想
名門高校生はいたずらをした同級生を見てしまう。そのことを校長に問い詰められ、仲間を売るか、権力者に媚びるかで悩む。同じころに盲目の退役軍人の世話をすることになり、なぜか一緒にニューヨークへ旅行してしまう。

そこで、軍人の横暴な態度を目の当たりにする。明らかにやっかいな仕事を押し付けられた高校生は困惑する。盲目であることを差し引いても、プライドが高くちょっとしたことで怒り、扱いずらい老人であることは間違いない。盲目なだけにほっとくこともできず、苦労する場面が最高だ。

女好きの軍人は、盲目でありながら、女アサリをする。それだけでなく、高校生にもお似合いの相手を見つけ出そうとしたりもする。老害でやっかいな人物であることは間違いない。自分の兄の家族の家に強引におしかけディナーを共にしたりもする。

迷惑この上ない存在ではあるが、親戚なので邪見にはできない。そして、ディナーの場で、高校生をバカにする言葉を吐いた者が、軍人から締め上げられたりもする。勝手に押しかけて場をぶち壊してさっさと帰る。まさに親戚中から厄介者扱いされるような存在だ。

盲目となったことで、強がってはいるが、どこか死に場所を探している雰囲気のある軍人。過去の思い出をたどりながら、すべてに満足すると正装して銃で自殺しようとする。それを止めるのは高校生だ。高校生は自分の悩みを語り、軍人の自殺を思いとどめさせようとする。

偏屈な老人がどのように変わっていくのか。ラストでは全校生徒の前でつるし上げにあう高校生を、軍人が助ける。権力者にチクるタイプよりは、仲間のために決して口を割らない者を評価すると叫ぶ。

アル・パチーノの盲目の演技がすさまじい。



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