世界にひとつの金メダル


 2021.12.30      落馬するとゼロ点の乗馬競技の過酷さ【世界にひとつの金メダル】

                     
世界にひとつの金メダル [ ダニエル・オートゥイユ ]
評価:3

■ヒトコト感想
実在した人物を元にした作品。オリンピックの乗馬競技に心血を注ぐピエール。小柄で気性は荒いがジャンプ力がある馬のジャップルーをパートナーとして選ぶ。馬というよりもピエールの人生模様というような作品となっている。父親であるセルジュから乗馬の訓練を受ける。ただピエールは頭もよいので弁護士を目指していた。

弁護士となるか、乗馬の選手となるのか。弁護士をきっぱりと辞めて乗馬の選手となるのだが、そこでジャップルーの能力に選手が追い付いていないとまで言われてしまう。ピエールのジャップルーに対する熱量が強烈な作品であることは間違いない。鍛錬の日々を繰り返しながらラストでオリンピックで金メダルをとるのは感動的だ。

■ストーリー
1980年代初頭、フランス。子供のころより父セルジュの指導の下で障害飛越競技に打ち込んできたピエール・デュラン。彼は大人になり父の期待から逃れるように都市で弁護士の道を歩み始める。だが、幼い日の情熱を諦めることができずキャリアを捨て、再び選手<ライダー>を目指すことに。一方で、誰からも期待されず人間を一切信じない若馬ジャップルー。

小柄で気性が荒くて欠点だらけ。だが、この若馬ジャップルーは高い跳躍力と才能を秘めていた。ピエールはジャップルーをパートナーとして走ることを選び、父セルジュとともに鍛錬の日々が始まる・・・・・。

■感想
小柄で性格に難のあるジャップルーという馬がいる。驚異的なジャンプ力を有しているジャップルーを相棒にし、フランス代表を目指す。ピエールは頭がよく、勉強をしながら乗馬の選手を目指す。二足の草鞋となるのだが、それまではうまくいっていた。

ただ、ジャップルーの驚異的な能力をうまくコントロールできず、試合で負けてしまう。そのことから、ピエールは弁護士に力を注ぐことになる。弁護士をやりながら趣味で乗馬をやり続けるピエール。どこか満たされない気持ちがあるのはその表情から明らかだ。

父親たちがかなりピエールに協力的であり、全面的にピエールをサポートしている。このこともピエールの重荷になっているように思えた。ジャップルーの世話をする女はピエールに対して嫌悪感を示す。ピエールが乗馬を辞め、ジャップルーを売り払おうとしていたからだ。

ピエールとジャップルーの関係は複雑だ。ジャップルーの能力をピエールがどこまで引き出すことができるのか。フランス代表の監督とそりが合わないピエール。このあたり、フランス人らしいお互いの主張が激しい場面だ。

ジャップルーを輸送中にコンテナが火事となったり、練習中に障害間の幅が間違ってセットされていたため、ジャップルーが怪我をしそうになったり。乗馬の障害競技というのは、タイムの重要性もあるのだが、一度でも落馬をするとそこで得点がなくなり、チームとしてのメダルがなくなるというのは衝撃的だ。

個人競技であれば問題ないのだが、ひとりのミスでチームのメダルがなくなるというのはかなりプレッシャーがかかるのは間違いない。

乗馬の過酷さが描かれている。



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