聖の青春


 2019.7.10      聖が早死にしなければ、羽生のタイトルは今より少ないはず【聖の青春】

                     
聖の青春 [ 松山ケンイチ ]
評価:3

■ヒトコト感想
将棋の羽生世代の一人として脚光を浴びた村山聖を描いた作品。主演のマツケンがかなり体重を増量し村山聖を演じている。実在した村山聖のことは知らない。エキセントリックな雰囲気で将棋に命を賭ける男。少女漫画が好きであったり、持病がありながらも将棋のことだけを考えて生活する男。

家族のアドバイスを無視して、ろくな治療をせずに将棋を指し続ける。最終的には癌となり、余命わずかとなりながらも最後まで将棋を指し続ける。もし村山聖が生きていたなら、羽生はもう少し獲得タイトルが減っていたかもしれない。それほど能力はあったのだが、結局のところは羽生には勝てなかったのだろう。羽生を演じている東出昌大がその風貌がそっくりなことに驚いた。

■ストーリー
1994年、将棋のプロ棋士・村山聖(さとし)七段は、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指し、15歳の頃から10年間弟子入りし同居していた森師匠の元を離れ、上京しようとしていた。聖は幼少期より「ネフローゼ」という腎臓の難病を患っており、家族や仲間は反対する。しかし、幼いころから何をおいても将棋にかけてきた聖を見ている森師匠は、背中を押す。髪や爪は伸び放題、足の踏み場もなく散らかった家、酒を飲むと先輩連中にも食ってかかる聖に皆は呆れるが、みな彼の将棋にかける思いを理解し、陰ながら支えた。

その頃、同世代の棋士・羽生善治が前人未到のタイトル七冠を達成する。聖は強烈に羽生を意識し、ライバルでありながら憧れの想いも抱く。そして聖は、将棋の最高峰であるタイトル「名人」になるため、一層将棋に没頭し、並居る上位の先輩棋士たちを下して、快進撃を続ける。そんな中、聖の身体に癌が見つかる。だが、「このまま将棋を指し続けると死ぬ、手術し、療養すべし。」という医者の忠告を聞き入れず、聖は将棋を指し続けると決意する。彼の命の期限は刻一刻と迫ってきていた…。

■感想
プロ棋士の村山聖の生涯を描いた作品。腎臓の難病を抱えたままプロ棋士として成功する聖。冒頭から独特な風貌で歯に衣着せぬ発言を繰り広げる聖。敵は多いのかもしれないが、将棋の実力はすばらしい。羽生世代として華々しくデビューし、その後、すばらしい実績を残すはずが、志半ばにして終わる。

将棋に命を賭けているのは聖だけではない。奨励会で必死にプロになろうと頑張る者もいる。強烈なのは、自分の体がボロボロであるにも関わらず、体よりも将棋を優先する聖の執念だ。

このまま将棋を続けると死ぬとまで言われても、無視して将棋を指し続ける男。少女漫画が好きで、女性経験がない。死ぬまでに一度でいいから女と寝てみたいと羽生に語ったりもする。作中では聖と羽生がどの程度親しかったのかは描かれていない。

対局の合間に差しで飲みに行ったりするなど、何かしら交流があったのだろう。聖は羽生だけは認めており、羽生に勝つために必死に将棋を指し続けた。他の棋士に対しては辛辣なアドバイスを送る。かなりエキセントリックな性格だと描かれている。

癌を患ってからは手術をしながらなんとか将棋を続けようとする。驚いたのはA級にまで上り詰めていたということだ。29歳で亡くなったということで、タイトルはまだ獲得できていなかった。もし、村山聖が生きていたらどれだけタイトルを取れていたのか。

恐らくだが羽生には到底及ばないまでも、2,3個は取れていたことだろう。早死にしたことで注目された感もあるが、その風貌と特殊な性格から、周りから注目はされていたのだろう。映画化されるまでは、その存在すら知らなかった。

もし聖が生きていたら、というのはどうしても考えてしまう。



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