龍の歯医者


 2022.1.10      龍の歯を虫歯菌の怪物から守る【龍の歯医者】

                     
龍の歯医者 [ 清水富美加 ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
舞城王太郎原作のアニメ映画化作品らしい。原作は未読。架空の国同士が戦争をしている。龍を味方につけた側は龍の能力により戦争を有利にすすめることができる。龍の虫歯を治療する者たちの物語だ。すでに最初の設定でぶっ飛んでいることは間違いない。龍の歯の中に潜む虫歯はまさに絵にかいたような菌の化け物となっている。それを倒すのが龍の歯医者だ。

虫歯菌との対決と共に、龍を狙う他国の者たちとの闘いもある。龍とは何なんか。龍の歯の中には戦争で死んだ死者たちがいる、という設定なのだが…。これらの設定が特殊だが、2時間の短時間ですべてを観衆に理解させ楽しませることができるのはかなり構成が優れているからだろう。

■ストーリー
彼の国には龍が棲んでいる── 神話によれば、古の人々との契約により、龍は人を助け、人は龍を助けるという…舞台は “龍の国"。主人公は、国の守護神 “龍"を虫歯菌から守る新米・歯医者の野ノ子。隣国との戦争が激化する中、ある日彼女は、龍の歯の上で気絶した敵国の少年兵を見つける。少年の名はベル。大きな災いの前に龍が起こすと言われる不思議な現象で、巨大な歯の中から生き返ったものだった。

自らが置かれた状況に戸惑うベル。そして彼を励まし、彼を龍の歯医者として受け入れる野ノ子。激しい戦いに巻き込まれながら、二人はやがて自らの運命を受け入れて行くことに…かつてない壮大なスケールで描かれる冒険ファンタジー!

■感想
龍が守る国はミサイルなども龍の力で防いでしまう。激しい戦争の中で、龍の歯を守る者たちがいる。龍の歯の中に潜む虫歯を退治する者たち。戦死した相手側の国の男が、なぜか龍の歯から生まれ変わり、龍の歯医者として修業し始める。

そもそも時代設定や物語の設定がよくわからない状態だ。龍を守る国はどこか太古の日本のような風貌をしている。戦争相手の国は外国のようだ。戦艦や戦闘機が飛び交う中で、巨大な龍だけが異質な存在感をはなっている。龍の歯を治療する歯医者というのも特殊な設定だ。

敵国の少年ベルがひょんなことから龍の歯医者となる。物語の図式としては虫歯菌との闘いと、敵国との闘いがある。虫歯については、仲間と思われた女が実は虫歯菌に魂を売っており、龍の歯が虫歯菌におかされることを助けたりもする。そして、歯医者たちと虫歯菌と融合した女の戦いがある。

愛する人を失った悲しみから、虫歯菌におかされた歯の中に入れば、死者と再会できると考えての行動なのだが…。やはり死んだ者が甦ることはない。歯医者の仲間を裏切ってまで切望しただけに、もの悲しさが残る。

敵国のひとりが龍から抜けた歯を手に入れ、龍を制御しようとする。戦争に勝つためには龍の力を失わせる必要がある。龍を守る者たちを次々と殺害する男。そして…。龍の庇護により戦争に勝ち続けた国は、龍の力を失うことを何より恐れる。

龍の歯医者と軍部の上層部は目的が異なるため仲たがいする。龍の歯医者は戦争などどうでもよいのだろう。龍の歯の健康だけを考える者たちだ。龍の歯医者という設定と、キレイな絵柄とファンタジーな設定が良い。

アニメとしてのクオリティが高い。



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