ルージュの手紙


 2019.12.19      波風立てない人生の中年女【ルージュの手紙】

                     
ルージュの手紙 [ カトリーヌ・フロ ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
助産婦であるクレールの物語。助産婦として不安な妊婦たちのそばに寄り添いながら、息子を女でひとつで育て上げる。息子は彼女を妊娠させるのだが…、クレールは怒るどころか喜びにうれし涙を流す。クレールは仕事にも恵まれ、ひっそりと幸せな生活を送っていたのだが…。

そこに義理の母親であるベアトリスが登場してくる。血のつながらない母親で羽振りも良く自由気まま。ぱっと見は友達のようにも見えるが、実は親子だ。クレールはペアトリスに反発しながらも、実は気にかけている。ベアトリスがガンで余命僅かと知ると一緒に生活したりもする。クレールは自分の恋愛にはそれほど熱心ではない。どこか人生に対して達観したようなそぶりすら見せている。

■ストーリー
助産婦として働きながら、女手ひとつで息子を育てあげ、地道な日々を送っていたクレール。そんな彼女のもとに、30年前に突然姿を消した、血のつながらない母親ベアトリスから電話が入る。ベアトリスは自己中心的でクレールとは真逆の性格。ベアトリスと再会したクレールは、自由奔放な継母のペースに巻き込まれ、反発を繰り返しながらも、やがて人生の歓びや愉しみに気づき始める…。

■感想
クレールの生活はある意味安定しているのだろう。助産婦として苦しむ妊婦たちを助け、不安な人々の心を和ませる。仕事の辛さに対しては、クレールは消化できているのだろう。息子も手が離れた後、クレールは自分の恋愛を考えてみたりもする。

そんなタイミングで出会ったトラックの運転手はクレールの思いをよく理解し二人は気が合うのだが…。クレールは何かを激しく求めるということはない。周りにうまく溶け込み波風を立てない人生を送っているようだ。そんなクレールに衝撃的な人物と再会する。

血のつながらない母親のベアトリスと再会する。父親の愛人であったベアトリスは羽振りが良い。あからさまに小金持ちなことを周りに見せびらかしている。それに嫌悪感をいだくクレール。ベアトリスは大阪のおばちゃんのように派手な身なりとワインを手放さない。

ベアリストはガンを患っており残り時間は少ない。そして、実は金持ちというのも見せかけのものだった。ベアトリスの真実を知ったクレールだが、それでも、ベアトリスの面倒を見たりもする。このあたりは、クレールがまるで天使のように見える流れだ。

ベアトリスの真実が判明した際にも、クレールはベアトリスを温かく向かい入れる。ベアトリスは自分の治療費をねん出するため、腕時計を質屋に売り払おうとするのだが…。落ちぶれた義理の母親。クレールが面倒をみる義理はないのだが、父親が愛した女性ということでクレールはベアトリスに温かく接する。

せっかくできた恋人に対しても、恋愛をしている暇はないと追い返してしまう。クレールのやさしさなのか、何なのか。ベアトリスはクレールの思いに気づき、自ら身を引くことを選択する。

ラストの手紙はなんともおしゃれだ。



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