ルーム


 2019.8.15      生まれた時から監禁され続けた少女【ルーム】

                     
ルーム スペシャル・プライス[ ブリー・ラーソン ]
評価:3

■ヒトコト感想
冒頭から狭い部屋で生活する母娘。どんな状況かは、物語が進むにつれて明らかとなってくる。母娘は納屋に監禁されていた。男はまれに部屋に入ってくる。ここで、母親が過去に男に連れ去られ納屋に監禁され、その男の子供が、5歳になったばかりのジャックだとわかる。

非常にショッキングな設定だ。小さな部屋で生まれたときから部屋の中しか知らないジャック。天窓から見える小さな空だけがすべて。テレビの中の世界はおとぎばなし。スマホやテレビはあるので、情報は入るのだがすべてはジャックにとって現実ではない。ジャックは小さな部屋だけがすべてだ。物語は母親がジャックを使ってうまく脱出してからも続く。外の世界に驚くジャックの様子は強烈だ。

■ストーリー
小さく狭い[部屋]で、5歳の誕生日を迎えたジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。ママ(ブリー・ラーソン)は、「この部屋の外にも世界があるの」と話はじめた。閉じ込められてきた[部屋]で生まれ育ち、[部屋]以外を知らない息子に、本当の[世界]を見せるため、脱出計画を図るママ。息を殺して望む計画は、果たして成功するのか?そしてその先にある、衝撃の[世界]とは――!?

■感想
ジャックは生まれた時からその部屋から外にでたことがない。学生だった母親が男に監禁され、そこで妊娠し子供が生まれる。衝撃的な展開だ。物語の中では、そのことをはっきりとは言及していない。におわせるような会話はある。

母親は過去に部屋から逃げ出そうとしたが、ことごとく失敗したらしい。母親は男を恐れている。何か攻撃を加えた場合、何倍にもなって反撃される。まさに精神的に監禁された状態なのかもしれない。日曜日にだけ部屋に物資が届く。すさまじい監禁生活だ。

ジャックは生まれたときから部屋で過ごしているので、部屋しか知らない。葉っぱは緑なのが当たり前で、茶色い葉っぱなどは存在するはずがない。テレビの中の人はすべて偽物。現実には母親と男とジャックしか存在しないと思い込んでいる。

ジャックの洗脳具合はすさまじい。母親は、ジャックが熱があるふりをして逃げ出そうと考えるが失敗する。ついにはジャックが死んだことにして、死体を男が外に捨てに行くことでジャックを逃がそうと考える。ジャックが逃げる際の緊迫感はすさまじい。そして、ジャックのつたない言葉から監禁先を見つけ出す警察もすごい。

外の世界にでたジャックは混乱し続ける。広がる大空を見てジャックは戸惑う。突如として祖母や祖父がでてきて、医者など他の人間に対する拒否感も強い。ジャックが混乱するのは無理もないだろう。生まれて5年間、ほぼ母親としか会話していない子供には世界は大きすぎる。

心理的に不安定となるジャック。母親も監禁状態から解放されたとはいえ、人生をボロボロにされた恨みは残る。ギクシャクする家族関係。マスコミは好き勝手な憶測をする。ラストでジャックがもう一度部屋に行きたいというのは印象的だ。

監禁された部屋の中だけで育つ子供は、どのような心理的状況になるのだろうか。



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