ローズ・マダー 上 


 2018.6.6      DV夫から逃げ出せるか 【ローズ・マダー 上】

                     
ローズ・マダー(上) 新潮文庫
評価:3
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■ヒトコト感想
夫にDVを受け続けているローズは、ふとした瞬間にこの状況から抜け出したいと考える。一歩間違えれば死が目の前に迫るようなDVを受け続けたローズが、夫のノーマンから逃げ出す物語だ。まずローズが受ける仕打ちがすさまじい。いつ死んでもおかしくないほどの虐待を受け続けるローズ。周りに助けを求めることもできず、常にノーマンの恐怖に震える生活を続ける女。

逃げ出してからもノーマンの恐怖に常に付きまとわれることになる。本作ではノーマンの異質さが際立っている。ローズが逃げ出したと知ってからのノーマンの執念はすさまじい。そして、警察官という立場を利用しての、ノーマンのローズの捜索はすさまじい恐怖がある。上巻ではまだノーマンはローズを見つけ出していないが、これが下巻になると…。先が気になって仕方がない。

■ストーリー
このままでは、殺される―ある朝、シーツについた小さな血の染みをみつけて、ローズはそう口にしていた。優秀な刑事の夫ノーマンも、家ではサディストの暴君。結婚後の14年間暴行を受け続けたローズは心身ともにもう限界だった。逃げだそう。あの人の手の届かないところへ―。だが、家出をした妻をノーマンが許すはずがない。残忍な狂気と妄執をバネに夫の執拗な追跡が始まった。

■感想
サディストの極みであるノーマン。結婚してから14年間、ノーマンから暴行を受け続けたローズはすでに心身共に壊れる寸前だ。そんなローズがふとした瞬間に逃げ出すことを考え、それを実行にうつす。ノーマンの手の届かないところであれば、どこでもよい。

そう考えたローズは幸運にも、ローズと同じような境遇の女性たちが逃げ込む、駆け込み寺のような場所にたどり着くことができた。DV被害を受けた女性が、そこから正常な生活に戻るためには様々な障害がある。それらをサポートするのが駆け込み寺の役目だ。

読者はローズの幸せを願いつつも、いずれはノーマンがローズを探し出すことをわかっている。その時までにローズの状況はどうなっているのか。ローズは社会復帰するために小さなアパートを借りて、物語を録音する仕事につく。

そして、そこで出会いがあり、恋人らしきものができる。このローズの幸せも、いつかノーマンによって壊されるという恐怖がある。ノーマンがどこでローズの新生活に入り込むのか。執念深いノーマンの行動というのは、架空の物語といえども、恐怖を覚えずにはいられない。

ノーマンの執念はすさまじい。そして、人を殺すことに躊躇ないのが恐ろしい。ノーマン自身が自分が癇癪もちだということを理解している。瞬間的に頭に血が上ると、その瞬間に何がなんだかわからなくなる。そして、目の前には死体が転がっている。

怒りが沸点に到達すると、その瞬間に相手をかみ殺してしまう。こんな男に追いかけまわされるローズは気の毒でしかない。逃げまどうローズ。そして追うノーマン。ローズが架空の世界に入り込むことに、どのような意味があるのか。

下巻で、ノーマンがローズを見つけることは間違いないだろう。



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