Re:LIFE リライフ


 2020.2.22      一発屋脚本家の悲哀【Re:LIFE リライフ】

                     
Re:LIFE リライフ
評価:3

■ヒトコト感想
若いころに脚本家として成功し、名声を手に入れたキースが、落ちぶれ大学の講師となる物語だ。ヒューグラントはこの手の間抜けな役がよく似合う。一発屋の脚本家として、現在でもプライドは捨てきれずハリウッドにしがみついている。そんなキースに引導を渡すためにエージェントが用意した仕事が大学の講師だ。気が進まないキースは授業の希望者を見た目で選び、教室には美しい女性と不細工な男だけになっている。

キースは生徒と肉体関係を結び、権力ある女性教授をこき下ろしたりとやりたい放題だ。そのツケがのちのち回ってくるのだが…。個性豊かな生徒たち。やる気のないキースがやる気を見せ、最終的には脚本家よりも講師の道を選択する物語だ。

■ストーリー
アカデミー賞脚本賞に輝き、一夜で名声を手に入れたキース・マイケルズ(ヒュー・グラント)。しかし、それから15年もの間、全くヒット作に恵まれない。妻にも逃げられ、一人息子とも会えず、遂には電気すら止められてしまう。彼は仕方なく、エージェントから紹介された、NY北部の田舎町ビンガムトン大学のシナリオコースの講師を引き受ける。懇親会では酔っ払って女性教授ウェルドン(アリソン・ジャネイ)に暴言を吐き、学生は好みのタイプの女学生カレン(ベラ・ヒースコート)たちを選ぶなど、やりたい放題。

再三大学の学科長のラーナー(J・K・シモンズ)に忠告を受ける始末。だが、娘を育てながら復学をしたシングルマザーのホリー(マリサ・トメイ)を筆頭に、生徒たちは真剣。そんな心から映画を愛する彼らの情熱に触れるにつれ、キースの心の中でも何かが変わり始める──。人とのつながりで学んだ最も大切な人生のシナリオとは・・・

■感想
過去の栄光を引きずる脚本家キース。プライドはあるが本が書けない。やる気のない講師だったが、生徒たちの熱気に影響され、少しづつ変わっていく。ヒューグラントのはまり役なのは、ちょっと間抜けで美人な生徒に言い寄られると断ることができず肉体関係を結んでしまう部分だ。

バツイチ子持ちの聴講生や気難しい女教授など、キースの周りは個性豊かな女性ばかりがそろっている。やる気のないキースが脚本について真面目に生徒に教え始めると、すこしづつ変化していくことになる。

この手の作品であれば、生徒の中で才能のある者が書いた優れた脚本を横取りして、自分の脚本として発表しようと考えるだろう。本作でもすばらしい脚本を書く生徒が登場するのだが…。そこでキースはアイデアを横取りするのではなく、プロデューサーとしてかかわろうとする。

ただ、そこでも過去の自分の栄光を思い出し、今の自分の立場のみじめさを知り考えを変えることになる。キースは女生徒と付き合っていたことがバレて大学を追われるが、執念で戻ってこようとする。

結局のところ、キースはあれほど嫌がっていた講師の仕事にやりがいを見つけたのだろう。自らが脚本家としてもう一度成功することを諦め、後身の育成にかける。険悪となっていた女生徒たちとの関係や、女教授との関係も改善されている。

人とのつながりで成長できる典型だろう。引きこもり、いつヒットするかわからない脚本を永遠に書き続けるのもひとつのパターンかもしれない。キースが生徒の脚本を奪うことなく最初から教育者として接しているのが予想外に好感がもてた。

ハリウッドにはキースのような脚本家はごまんといるのだろう。



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