リップヴァンウィンクルの花嫁


 2019.5.12      平凡な女が奇妙な人々に巻き込まれていく【リップヴァンウィンクルの花嫁】

                     
リップヴァンウィンクルの花嫁 [ 黒木華 ]
評価:3

■ヒトコト感想
平凡な女の皆川が、ひょんなことから奇妙な人々と知り合いとなり、特殊な経験をする物語。派遣の教員やバイトでネット家庭教師のようなことをしている皆川が、ネットで教師の男と知り合いとなり結婚する。ごく平凡な結婚生活を望んでいた皆川だったのだが…。まず皆川の両親が離婚状態であり、結婚式の参列者を偽装で用意するところからほころびが見えてくる。そこから、安室の策略により離婚させられることになる。

安室の目的がよくわからないのだが、最終的に皆川は末期がんの真白と生活することになる。本作で驚きなのは、安室がもってくる仕事の怪しさだ。なんの躓きもなければ、皆川はごく平凡な主婦になっていたはずだ。それが少しのボタンの掛け違いで、人生は大きく変わっていく。

■ストーリー
舞台は東京。派遣教員の皆川七海(黒木)はSNSで 知り合った鉄也と結婚するが、結婚式の代理出席をなんでも屋の安室(綾野)に依頼する。新婚早々、鉄也の浮気が発覚すると、義母・カヤ子から逆に浮気の罪をかぶせられ、家を追い出される。

苦境に立たされた七海に安室は奇妙なバイトを次々斡旋する。最初はあの代理出席のバイト。次は月100万円も稼げる住み込みのメイドだった。破天荒で自由なメイド仲間の里中真白(Cocco)に七海は好感を持つ。真白は体調が優れず、日に日に痩せていくが、仕事への情熱と浪費癖は衰えない。ある日、真白はウェディングドレスを買いたいと言い出す。

■感想
ネットで知り合った男とトントン拍子に結婚した皆川。見た目も普通で、ごく平凡な主婦になるはずだったのだが…。結婚式の参列者が少ないことから、偽装の親類を用意してもらうことになる。そこから、夫の浮気の調査を安室に依頼するのだが…。

安室の策略で、皆川は離婚させられることになる。なぜ安室は皆川を窮地に追い込もうとしたのか。ここだけがイマイチ納得できなかった。行くところのなくなった皆川が頼るのは安室しかない。ここで安室は皆川に様々な仕事を斡旋することになる。

結婚式の参列者を偽装で用意するというのは本当にあるらしい。赤の他人同士が家族のフリをして他人の結婚式に参加する。どの程度バイト代がもらえるのかわからないが、なんだか楽しそうに感じたのは自分だけだろうか。平凡な見た目でおとなしい皆川は、誰にでも可もなく不可もなく対応できるような気がする。

偽装の参列者の中で、エキセントリックな言動を繰り返す真白と出会う。そこからは、巨大なお屋敷のメイドに住み込みで対応したり、皆川の生活は様変わりしていく。

皆川と同じく住み込みのメイドと思っていた真白だが、実は真白自身がお屋敷の主だった。末期がんのAV女優。すでに死を覚悟した真白は、道連れとして皆川を選んだのだろう。すべては安室に真白が依頼したことだった。

安室の暗躍具合がすさまじい。金のためになんでもする男。そこに情はいっさい入る余地がない。真白がどうなろうと皆川がどうなろうと関係ない。皆川の平凡な人生を壊しておきながら、その後、平然と良い人のふりをして皆川に近づく神経が異常だ。

現代で、ありえそうなことだけに恐ろしい。



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