リプリー


 2019.12.14      ハラハラドキドキの変わり身【リプリー】

                     
リプリー スペシャル・エディション
評価:3

■ヒトコト感想
リプリーは金持ちのドラ息子ディッキーになりきり青春を謳歌する。物語はディッキーの父親がリプリーにディッキーを連れ戻すことを依頼することから始まる。ディッキーはドラ息子らしく自由奔放だ。リプリーが密かにディッキーにあこがれている場面が多数ある。リプリーがディッキーを殺害し、ディッキーのふりをするのが痛快だ。

人を欺くのがすさまじくうまい。リプリーの策略がいつ周りにバレるのか。偶然の要素があるにせよ、うまい具合にリプリーは危機を乗り越えている。この緊迫感あふれる展開が良い。この手の犯罪ものでは、最後の最後にリプリーが痛い目を見るのが定番なのだが…。結局最後までハラハラドキドキは続いていく。

■ストーリー
他人の人生を、欲しいと思ったことはありますか。特技は嘘をつくこと、サインを偽造すること、他人になりきること野心以外何も持っていないトム・リプリーは、ある富豪からイタリアに行ったまま戻らない息子ディッキーを連れ戻す仕事を引き受ける。イタリアで彼が出会ったのは退廃的な生活を送るディッキー。きらびやかな毎日、美しい恋人…トムは自分には手の届かない甘い生活を享受する彼に憧れのまなざしを向ける。

気まぐれからそんなトムを自分と恋人マージとの生活に引き入れるディッキー。しかし、自分にまとわりつくトムを次第に疎ましく思い出した時悲劇が起こる…。

■感想
ディッキーとリプリーとの出会いから、激しく反目しあうまで。リプリーは純朴そうな青年だが、ディッキーの恋人や持ち物や服にまで過剰な執着を見せている。リプリーが凶行に走り、ディッキーは海のど真ん中で魚のえさとなる。ここからが本作の面白さのポイントだ。

リプリーはディッキーのふりをする。そして、リプリーを知る人には、ディッキーと一緒に住んでおり、ディッキーはでかけていると言う。周りからするとディッキーが出没した噂は聞くのだがその姿は見えないということになる。

ディッキーとリプリーを両方知る者と、リプリーしか知らない者が巧みに交錯する。つい最近までディッキーのふりをしたリプリーが行動をしていたので、ディッキーの父親や恋人はディッキーが気まぐれで姿を見せないものと思い込んでしまう。

唯一、その謎に気づいた者は、リプリーの手にかかってしまう。リプリーはもはや後戻りできない状態にまで追い込まれている。その結果、ディッキーの父親が出張ってきたとして、そこからどのような状況になるのかが本作のメインかもしれない。

父親が雇った探偵と一対一で話す場面は強烈だ。ここでついにリプリーの悪事がバレるかと思いきや…。リプリーの悪運の強さはすさまじい。ディッキーの恋人はリプリーを疑い続けるのだが、男にしかわからないと父親や探偵たちに押さえつけられる。

なんとも皮肉な展開だ。危機を乗り越えたリプリーのなんとも言えない歓喜の表情は強烈だ。今までの神経をすり減らす行動の数々が、すべて報われることになる。その先では、リプリーは自分の幸せな生活を守るために殺人を犯し続けるのだろう。

リプリーがラストでは悪魔のように見えた。



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