レイジング・ブル


 2020.1.16      デニーロアプローチはすさまじい【レイジング・ブル】

                     
レイジング・ブル
評価:2.5

■ヒトコト感想
「デニーロアプローチ」として有名な本作。確かにラモッタの絞り込まれたボクシングシーンと、晩年のラモッタのぷっくりと腹が膨らんだ体型が同一人物とは思えない。過酷な体重コントロールがあったのだろう。そればかりに目を奪われがちだが、物語としてはわりと単純だ。ラモッタは実力はあるがチャンスに恵まれないボクサーだった。

それが八百長を受け入れたことでチャンスが訪れチャンピオンとなる。浮かれたチャンピオンが周りに迷惑をかけ、ついにはボクシングを引退する。ラモッタの嫉妬深い部分が強烈に印象に残っている。嫁が他人と会話しただけで激しく嫉妬し、弟のことを信用できず殴りかかったりもする。ラモッタの強烈な人生が描かれている。

■ストーリー
プロ・ボクシング元ミドル級チャンピオンで、“ブロンクスの怒れる雄牛(レイジング・ブル)"の異名をとったジェイク・ラモッタ。スラム街から這い上がり、不屈の闘魂で王座に君臨した栄光と破滅の半生とは……?

■感想
ラモッタは粗暴でいい加減で女にだらしない男だがボクシングは強い。相手をバカにするような戦い方をするが、圧倒的な強さを示す。弟がマネージャで、町の実力者トミーの力によりのし上がろうとするのだが…。

ラモッタはトラブルメーカーだ。嫁に対してもあたりが強く嫁を邪魔者扱いにする。嫉妬深く他人に厳しく自分に甘い。ボクシングの実力があるからこそ、まだ許されている部分もある。最初はラモッタをかばっていた弟も、後半では兄に愛想をつかしている。

ラモッタはすさまじい強さだが、素行の悪さで試合に恵まれない。チャンスを得ることができない。ボクサーとしての節制なんてのはまったく考えていない。これで無敵なのだから始末が悪い。ラモッタはバーでビッキーに一目ぼれし妻と離婚してビッキーと結婚してしまう。

ここからラモッタの異常なほどの嫉妬深い性格があらわとなる。ビッキーが他人と話をしただけで不機嫌となる。親しく話をした瞬間に浮気を疑い始める。ついには実の弟がビッキーと寝ているのではないかと疑いだし、弟を滅多打ちにする。

ラモッタはボクシングを引退すると、その後は飲み屋を経営することになる。ラモッタの見た目の変化はやはりすさまじいものがある。ボクサーとしてチャンピオンになった場面での絞られた体つきと、晩年のラモッタのでっぷりと太った体型を同一人物が演じたということに驚かずにはいられない。

CGでごまかせない時代なので…。ここまで急激に人間が太れるものなのかと信じられない気持ちで見た。これが世にいう「デニーロアプローチ」なのだろう。ストーリーは抜きにしてラモッタの体型の変化には驚かされるばかりだ。

やはりロバート・デ・ニーロはすごかった。



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