レッド・エージェント 愛の亡命


 2019.3.23      美女がスパイという定番【レッド・エージェント 愛の亡命】

                     
レッド・エージェント 愛の亡命 [ レベッカ・ファーガソン ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
冷戦真っ只中のソ連とアメリカのスパイ合戦を描いた作品。50年代のモスクワでのカティアのスパイ活動を描くパートと、その後の現在を交互に描く。現在のパートでソ連から亡命した者を探す物語がスタートする。過去のスパイ行為と現在の亡命結果。物語がすすむにつれ、それらの全容が明らかとなり結末が見えてくる。

スパイ行為はバレずに成功したのか。そして、カティアたちは無事亡命できたのだろうか。スパイの行く末と、亡命者がその後に結末を語るのは同時だ。スパイの物語は盛り上がり、一方で亡命者は過去を語る。この対比がすばらしく、スパイ行為がすべて成功したわけではないとわかる。何が失敗しカティアはどうなったのかがポイントだ。

■ストーリー
1950年代のモスクワ。学校の事務員として働くカティアは、かつて自分の両親を殺した母国に復讐を果たすため、冷戦状態にあったアメリカのスパイとして秘密裏に活動していた。ある時、彼女はかつてない最大の任務を命じられる。それはソビエト外交官として働く将来を期待された若き男、アレキサンダーに近づき政府の極秘情報を盗み取ること。

その美貌と知的な振舞いから、すぐに彼の気を引くことに成功。順調にスパイ活動を遂行していくカティア。しかし、彼の優しさに触れていくうちに、禁断の恋へと落ちていってしまう。自らの任務と彼への愛情の間で揺れ動く彼女の運命は、予想だにしない結末を迎えることに…

■感想
美しい女性がスパイとなるのは定番かもしれない。ソビエトの若き外交官であるアレキサンダーに近づくカティア。そして、結婚することになるのだが…。カティアのスパイ行為はいずれ露見するだろうことは容易に想像できる。50年代のパートと、現代のパートが交互に語られることになる。

50年代では若々しい男が、現代ではヨボヨボの老人となっている。アメリカに亡命し、娘を得て平穏な暮らしをしているところを見ると亡命は成功したと思われるのだが…。

本作では、現代のパートで謎があるのが良い。その人物がなぜ調査をしているのか。過去のスパイ行為を暴くためなのかそれとも…。現代パートで調査する人物が、実は過去パートでも登場していたということに衝撃を受ける。その正体は結末にわかるのだが…。

過去のスパイ行為でカティアとその仲間たちはアメリカに亡命しようとする。亡命に成功したのか、失敗したのか。現代のパートではカティアが登場しないことから、カティアに何かがあったのは想像できてしまう。

ラストは現代のパートで復讐に燃える女がすべてを告白することで、過去に何があったかが判明する。そして、過去のパートでは、それを裏付けるような出来事が起きる。冷戦時代のスパイ合戦には、強烈なインパクトがある。

一歩間違えれば、死が待つ世界。それだけのリスクを負ってもスパイの価値はあるのだろう。過去と現代を交互に描くことにより、過去何が起きていたのかを想像できるのが良い。ただ肝心の結末は現代のパートでも予測できないようになっているため、最後まで興味がつきることはない。

冷戦時代のスパイの過酷さが描かれている。



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