リカウント


 2018.6.8      往生際の悪い大統領選 【リカウント】

                     
リカウント 特別版 [ ケヴィン・スペイシー ]
評価:3

■ヒトコト感想
2000年のアメリカ大統領選挙を描いた作品。ブッシュとゴアの大統領選挙で、投票の再集計をやるやらないの騒ぎがあったのは知らなかった。ブッシュが大統領になったという結果のみ知っていたが、決まるまでのゴタゴタがここまで激しいとは思わなかった。フロリダ州の投票結果が大きく影響する。そこで様々な人物たちが、自分たちの陣営が有利になるような動きをする。

物語的にはゴア陣営が主役となっている。歴史的事実からゴアが負けることはわかっている。ただ、作中では裁判の結果で再集計が行われたり、はたまた中止にされたりと二転三転する。抗議、訴訟、上告、内紛など大統領を置き去りにしてそれぞれの陣営で激しいやりとりが繰り返される。ものすごい臨場感だ。

■ストーリー
2000年のアメリカ大統領選挙。フロリダを…すなわち大統領選を制したのは、どちらの候補か。HBO FilmsR 製作の『リカウント』が追うのは、本選挙に始まりブッシュvs.ゴア事件の最高裁判決で幕を閉じる、36日間のドタバタ劇。

片やテキサスのカリスマ、ジェイムズ・ベイカー(オスカーR候補のトム・ウィルキンソン、『フィクサー』)率いる共和党。片やゴアの元首席補佐官ロン・クレイン(オスカーR二度受賞のケヴィン・スペイシー、『アメリカン・ビューティー』)率いる民主党。全米が固唾をのんで見守る中、両陣営の争いは、抗議、訴訟、上告、党の内紛と、日を追うごとにエスカレートしていく。

実在する登場人物の多彩な顔ぶれを見れば、勝者を決めた役割と同じくらいその厚化粧で広くアメリカ国民に知れ渡った、フロリダ州の州務長官キャサリン・ハリス(オスカーR候補のローラ・ダーン、『ランブリング・ローズ』)の姿も。アメリカ大統領選挙の歴史に残る大接戦。その事実は小説よりも奇なりを地で行く展開に光を当て、娯楽色豊かに描いた政治ドラマ。

■感想
ブッシュとゴアの大統領選挙。自分の中ではあっさりとブッシュに決まったものかと思っていた。それが、実はフロリダで再集計のゴタゴタがあったと初めて知った。まず集計シートがシートにキリのようなものを刺して穴をあける形式だということに驚いた。

集計を自動化するためなのだろう。読み取り不可となる可能性もある。そんな状況でわずかの差で勝利したブッシュ陣営は、そのまま再集計なしで終わりたい。対してゴア陣営は再集計すれば自分たちが勝つと主張する。

再集計をめぐっての激しい争い。そして法律の解釈にまで広がり、最終的には州知事の決断にかかっている。曖昧な記述からどのようにして判断するかは、最後に権力者が決断する。このゴタゴタもすさまじい。

そして様々な関係者たちがコメントをし、お互いの陣営は自分たちが有利になるように抗議する。法的解釈の違いから、訴訟にまで発展し、敗訴したとしても、そこから上告まで行う。この激しい対立というのは、アメリカ国民はどのような気持ちで見ていたのだろうか。

最も強烈なのは、最初にゴアが敗北宣言をするため移動する場面だ。テレビの集計が間違っているとわかった時、ゴアに宣言をさせないように皆が必死になる。すでに勝った気持ちでいたブッシュと負けた気持ちになったゴア。

再集計すればまだわからないとなった時の、それぞれの複雑な気持ちというのは想像できない。全米がかたずをのんで見守る結果は…。オチはわかっているのだが、そこに至るまでの展開を見せられていると、非常に興奮してくる。

それぞれの陣営の熱量が伝わってくるかのようだ。



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