ラブリーボーン


 2018.7.2      14歳におとずれる、突然の死 【ラブリーボーン】

                     
ハッピー・ザ・ベスト!::ラブリーボーン [ マーク・ウォールバーグ ]
評価:3

■ヒトコト感想
冒頭から14歳の少女スージーが明るく楽しく飛び跳ねる映像や、カラフルな風景から少女の青春物語かと思った。それが、「私は死んだ」という衝撃の言葉で、物語の雰囲気が一変する。近所の異常者に殺された少女が、霊体となって家族や容疑者たちを眺める物語だ。スージーが殺されるまでの状況はすさまじい。美しい映像とキラキラ輝く笑顔。

それが一転して暗黒に突き落とされる。スージーは霊体となり美しい天国の映像が続く。ただ、下界では娘を殺されたスージーの両親たちが憔悴し、犯人はのうのうと日々を過ごす。霊体となったスージーは、どうにかして家族に犯人の存在を伝えようとする。映像や雰囲気は明るく楽しいものだが、内容はとてつもなくディープだ。

■ストーリー
大好きな家族と楽しく幸せな毎日を送っていた14歳の少女スージー・サーモンは、ある冬の日殺されてしまう。スージーがたどり着いたのは夢のように美しい天国。やり残したこと、大切な人たちへの想いを抱えながら、スージーは父親の犯人探しを助け、迫りくる危険から家族を守ろうと天国から地上を見守り続ける――。

■感想
楽しい毎日を過ごしていたスージーは、近所に住む異常者に殺されてしまう。突如14歳の青春が終わるのは悲しすぎる。それまでの楽し気な生活が突然終わるのはすさまじい。そして、スージーの家族たちの悲しみはとんでもなく、両親の関係は極度に悪化していく。霊体となったスージーが家族や犯人を眺める。

スージーのいる場所は天国と下界の間なのだろう。スージーの他にも、同じような少女がいる。霊体となったスージーは、直接下界に何か手をだせるわけではない。スージーのいる場所が、何かを象徴するように下界の出来事に合わせて変化していく。

14歳の娘を失った両親の状況は強烈だ。父親だけがひたすら単独で犯人捜しを続ける。刑事の忠告を無視して行き過ぎた行動にでたりもする。ひとりの少女の死は、周りにとてつもなく大きな影響を与えるということなのだろう。スージーが何か手を出せる状況ではない。

父親が犯人に近づいたとき、木の枝を落とすなどして注目させるしか手はない。犯人側からの心理描写もすさまじい。スージーを狙った理由や、スージーだけではおさまらなくなり、次はスージーの妹を狙おうとする…。

スージーが天国に行くためには何が必要なのか。父親と妹の行動により犯人はつかまりそうになるのだが…。結局のところ犯人は逃げおおせてしまう。ただ、家族たちがスージーの死の呪縛から逃れられたとき、スージー自身も天国へ行くことができたのだろう。

最後の最後には、悪には因果応報がまっている。カラフルな映像とポップな雰囲気から明るい青春物語のように思えたが、異常者の心理状態などを描写するなど、非常にディープで人によっては受け入れられない可能性がある。

タイトルからは想像できないほど残酷な物語だ。



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