プロジェクト・グーテンベルク 贋札王


 2021.12.13      偽札を作るプロセスが最高だ【プロジェクト・グーテンベルク 贋札王】

                     
プロジェクト・グーテンベルク 贋札王 [ チョウ・ユンファ ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
偽札製造集団のメンバーであるレイ。逮捕され、集団のボスである”画家”の正体を明かせと警察に迫られる。物語は観念したレイが画家との出会いから偽札作りに成功するまでが回想として語られることになる。秀逸なのは偽ドル札を作り上げるまでの過程だ。原版を作り特殊な紙とインクをどのようにして手に入れたのか。

偽札づくりの困難さと作り上げた際の喜びが表現されている。そこから偽札ビジネスを始めるのだが…。自分たちでは偽札を使わないというルールを破った仲間をあっさりと殺したりと残酷な面がある画家。衝撃的なのは、レイが警察に画家のことを密告しモンタージュを作成した後、画家の正体が判明する部分だ。仲間と強力して偽札づくりに没頭する過程は強烈なインパクトがある。

■ストーリー
タイの刑務所から香港警察へと身柄を引き渡された男、レイ・マン。世界を震撼させた国際的偽札(贋札)製造集団のメンバーである彼は、数々の容疑で取り調べを受けることになるが、そこにレイの友人、ユン・マンが現れる。レイの保釈を求める彼女に対し、ホー副署長は、今も行方不明となっているチームの首領“画家”について話すことを要求。レイは自身の“過去”について語り始める。PG-12

■感想
冒頭、逮捕されたレイが留置場の中で切手を偽造し手紙をだす。その精密な作業から、ただ者ではない雰囲気をかもしだしている。偽札製造集団のボスである画家を逮捕するため、画家の部下であるレイから情報を得ようとする刑事。

ここからレイの回想形式で、レイが偽札製造に関わる過程が描かれている。偽札を作るのがどれだけ大変なのか。原版さえできてしまえばよいわけではない。特殊な紙を作るための原材料や特殊なインクをどのようにして手に入れるのか。偶然の要素もあるのだが、偽札作りの困難さが描かれている。

冷酷非道な画家。刑事のひとりが囮捜査として画家に近づくのだが、あっさりと正体がバレて刑事は殺されてしまう。偽札を使わないルールを破った仲間をあっさり殺害し、海外の取引相手であるテロ組織の将軍のアジトに乗り込んでテロ組織を殲滅したりもする。

画家の残忍性が描かれたあと、情報を漏らしたとしてレイを殺しに画家がやってくるとレイは恐れ始める。この流れが秀逸だ。画家の恐怖が描かれ、黒幕である画家を逮捕しようと刑事たちは必死にレイの周りを警護するのだが…。全てはレイの策略だった。

二転三転する流れがすばらしい。画家は存在せず、すべてはレイが実行していた。画家というのは架空の存在で、残忍な行動はすべてレイ自身の行動だった。そして、刑事から逃げ切ったと安心したレイの前に、パートナーとして戦ってきた女が現れ船ごと爆破されてしまう。

精巧な偽札を作るための努力と才能。そして、秘密をもらさないための徹底的な残忍性。刑事すらも、その存在を突き止めることができなかった画家としての存在はすさまじい。

画家のモンタージュを作り、そこから画家と思わしき男が逮捕される流れはすばらしい。



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