パーフェクト ワールド


 2022.1.8      脱獄犯と少年の逃亡劇【パーフェクト ワールド】

                     
パーフェクト ワールド [ ケヴィン・コスナー ]
評価:3

■ヒトコト感想
脱獄犯のブッチと少年フィリップの逃亡物語。人質として連れられたフィリップがいつの間にかブッチの仲間となり荒野を疾走する。ブッチは一見傍若無人に見えるのだが、フィリップのことを大事に考えているのがわかる。ストックホルム症候群的にフィリップはブッチに頼り切りとなる。

途中で店に寄ったとしても助けを求めるどころか、ブッチに協力して逃亡をしようとする。偶然出会った親切な黒人家族の元で一泊するはずが、ブッチの正体がバレ、ブッチは黒人家族を殺そうとする。それを阻止するためにフィリップはブッチを撃ってしまう。この流れが衝撃的であり悲しくもあり、感動を呼び起こす。ワルであるブッチが最後には良い人に見えてくるから不思議だ。

■ストーリー
1963年アメリカ。テキサス及びアラバマ州全土に敷かれた緊急捜査網をかい潜って、脱獄犯ブッチ・ヘインズは、8歳の少年フィリップを人質に逃亡を続けていた。物心ついたころから刑務所の壁と向き合って生きてきた孤独な男ブッチの犯した罪は、脱獄、誘拐、殺人にまでエスカレートしていた。

追跡するテキサス州警察署長、レッド・ガーネットはブッチを初めて監獄に入れた張本人。再び犯罪者と追跡者となったふたりの男は、宿命の糸に操られるかのごとく、砂塵をあげて荒野を疾走した。フィリップを人質に逃げるブッチが目指すのは、この世に残された唯一のひとつの完璧な楽園“パーフェクトワールド"。しかし、追い詰められ、凶暴性をむき出したブッチは、一夜の宿を提供してくれた男に銃を突きつけるのだった……。

■感想
脱獄犯ブッチは、少年フィリップを人質にとりながら逃亡する。目指すはアラスカ。当初は一緒に逃亡していた脱獄犯の仲間は、フィリップに危害を加えたということでブッチはあっさりと仲間を殺害している。序盤ではこれでもかとブッチの凶悪性をアピールしている。

フィリップもブッチに対しては恐怖感しかない。ブッチたちを追いかけるレッドはブッチの性格やフィリップを連れていることを見越して追跡を続ける。レッドたちは、凶悪犯ブッチの良い面を表現するためだけに存在するようにも思えてきた。

ブッチとフィリップはいつの間にか一緒に逃亡を続ける仲間のようになっている。フィリップがハロウィンを楽しむ子供のフリをして民家の玄関に立つ。後ろにはブッチが隠れており、主婦がでてくると食べ物を出すように言う。

ブッチの腰には拳銃があることをあえて見せつけるようにする。フィリップはどこまで犯罪に加担している認識があるのだろうか。フィリップは厳しい家で育ちエホバだからとハロウィンを楽しめないことを不満に思っていたのだろう。いつの間にかブッチと厚い友情のようなものが芽生えている。

ラストの流れは感動的だ。黒人家族は全員ブッチにより身動きがとれなくされる。黒人の少年と仲良くなったフィリップは悲しい表情で見ている。今にもブッチが黒人を殺そうとしたところで、フィリップはブッチの銃を使ってブッチを撃ってしまう。ここからレッドはブッチを追い詰めるのだが…。

最後の最後でブッチはフィリップに撃たれてよかったと言う。ブッチからすると本当にアラスカまで行けるとは思っていなかったのだろう。フィリップと旅すること自体を楽しんでいたような雰囲気すらある。

思いもよらないラストでの感動だ。



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