2018.12.23 ディオは周りや部下をよく見ていた 【オーバーヘブン】
評価:3
■ヒトコト感想
ジョジョの奇妙な冒険の外伝的作品。本作では第三部のディオが日記を描いており、その日記を読むという流れだ。第一部のジョナサンとの出会いから曽於裏話まで、まるでコミックスの内容を補完するような流れでもあり、その裏側を描いていたりと、ジョジョを読んだことのある人でないとちょっと辛い内容かもしれない。ジョジョファンならば日記の内容とその場面が瞬時に頭の中に思い浮かぶだろう。
ディオと第六部のボスであるブッチ神父が知り合いだったとか、ダービー兄弟をことのほか評価していただとか。ディオが自分のスタンド能力に目覚め、その結果として部下たちが敗北したとしても、終始落ち着いていたというのがよくわかる内容だ。
■ストーリー
かつて空条承太郎の手によって焼き捨てられ、エンリコ・プッチ神父が切望したDIOのノート。世界の深淵で、DIOが探し求めた「天国」とは。小説家・西尾維新が、禁断の手記を再生する。
■感想
第1部や第3部が好きなジョジョファンならば間違いなく楽しめるだろう。逆に言うとこの1と3部をまったく読んだことのない人には辛いかもしれない。ディオが書いた日記では、ジョナサンとの戦いの歴史が描かれている。
ジョナサンからすべてを奪おうとしたディオが、石仮面をかぶり不死身の吸血鬼に変身する。圧倒的有利な状況にありながら、デイオはジョナサンに負けてしまう。ディオなりにジョナサンの爆発力がどこから生まれたのかを詳細に分析している。
吸血鬼となったディオがジョナサンの肉体をのっとるまでや、ジョースター一族が最後までディオの野望の妨げになるなど、原作ファンが喜びそうな小ネタや裏話が満載だ。ただ、基本は3部のディオが書いた日記なので、現在進行形の情報の方が面白味はある。
ディオが探し求めた天国へ行く方法。3部のダービー兄弟をかなり高評価していたり、承太郎たちに様々な部下を派遣し倒そうとしたり。まるで第3部の裏側を読んでいるようで楽しくなる。あの最強のディオであっても、不安に思うことがあるのだと感じさせられる流れだ。
次々と部下が倒されていく中で、ディオの中でも部下に対する信頼度の大小があることがわかった。エンヤ婆などはまさにスタンド能力に目覚めたてのディオにとっては重要な存在であったはずだ。それが承太郎たちにやられたと知ると、あっさりと切り捨てた要因も語られている。
ブッチとの交流や迫りくる承太郎たちの脅威に対してどのようにして対抗するかなど、まるで中間管理職的な悩みをもっていたりもする。傍若無人な印象があったが、意外なほどディオは周りや部下をよく見ていたということだ。
ジョジョの第3部ファンならば楽しめるだろう。
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