王になった男


 2018.10.26      影武者が真の王になる 【王になった男】

                     
王になった男 [ イ・ビョンホン ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
暴君の王が死の淵をさまよう間、影武者が王のふりをする。ただ王のふりをするだけのはずが、影武者がいつのまにか民のための政治を行おうとする。ただの影武者が本物の王よりも王らしくなるという物語だ。それまでの王が、わずかでも粗相があれば、その瞬間に部下を切り捨てていた。影武者は部下を思いやり大事にする。そして、部下たちも影武者に心酔する。

すべてがよい方向へと向かい始めた時、影武者の正体に気づく者が出始めた…。主演のイビョンホンがすばらしい演技をしている。王と影武者の違いは雰囲気や表情、そして歩き方で瞬時にわかるようになっている。ただ、影武者が成長し真の王になりつつあるときには、その表情も王らしくなっている。

■ストーリー
王と瓜二つだったために、毒殺の危機に怯える王・光海(クァンヘ)の影武者をつとめることになった道化のハソン。大臣たちの陰謀の気配が渦巻く宮中での不安から、暴君と化していた光海。ある日、病床についたことをきっかけに、妓生宿で腐敗した権力の風刺をしていたハソンが極秘の代役として王にすり替わる計画が実行される。

偽物の王が、本物の王に成り済まして政治の矢面に立つ15日間。その中でハソンは、最初は戸惑いながらも、次第に操り人形ではない民のことを考える真の王として周りを魅力していくのだが・・・

■感想
影武者が王のふりをしているのを知るのは2人の側近だけ。王妃にも知られていない。序盤では、側近が影武者に様々な指導をするが、公では王の言葉は絶対なため、側近は影武者の身勝手な発言にもただ黙ってうなづくしかない。

いつの間にか影武者は勉強し、純粋な思いで民のための政治の在り方を考えはじめる。影武者が公の場で、まさに王顔負けに部下たちを叱責する。常に民のためを考えての発言は、次第に部下たちの心をうつようになる。最初はダメな影武者が、成長していく姿はすばらしい。

王妃への対応も本作のポイントのひとつだろう。影武者として王と瓜二つではあるのだが、王妃に近づきすぎた場合は、正体がバレるかもしれない。王の体の傷の話や、影武者の手がいかにも労働者の手をしているなど、王の近くにいる者からすると気づく要素はある。

ただ、影武者の成長は、部下たちをより心酔させることになる。それまでの暴君であった王から、部下思いの王となる。王と影武者のそのギャップから、周りは混乱するのだが、それでもいつの間にか影武者に心酔している。

昏睡状態であった王が目覚めると、事態は一変する。そして、周りの従者たちの中には、王が偽物ではないかと疑う者もいる。唯一すべてを知るふたりの従者は、王が復活した場合は、影武者は始末されると知っている。影武者は自分が殺されると知りつつ、最後まで王としての務めを果たそうとする

ラストの展開は、今まで影武者が部下や民のためを思って行った数々の行為により、部下が心酔し影武者を助けることになる。そして、影武者の行動を逐一記録していた従者に、その内容を見せられた王は、暴君から変わっていくことになる。

イビョンホンの演技はすばらしい。



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