黄金のアデーレ 名画の帰還


 2018.11.5      国から名画をとりもどせ 【黄金のアデーレ 名画の帰還】

                     
黄金のアデーレ 名画の帰還 [ ヘレン・ミレン ]
評価:3

■ヒトコト感想
実話を元にした作品。アメリカで暮らすマリアが、自分が所有するはずの絵を取り戻すためオーストリア政府を訴える物語だ。ことの経緯としては、戦時中にナチスに略奪された絵をのちに取り戻すという流れだ。戦時中のごたごたとマリアが主張することを全て否定するオーストリア政府。国の象徴的な絵画となっているだけに、オーストリア政府としても安易に折れることはできない。

国を相手に裁判を起こそうとするマリアが頼ったのは甥の新米弁護士ランディだ。マリアとランディが様々な手を使いながら裁判を戦う。ついにはアメリカをも利用し長い裁判を戦うことになる。自分の絵を取り戻すために必死に戦う姿というのは、心打たれるものがある。

■ストーリー
20世紀が終わる頃、ある裁判のニュースが世界を仰天させた。アメリカに暮らすマリア・アルトマン(82歳)が、オーストリア政府を訴えたのだ。“オーストリアのモナリザ"と称えられ、国の美術館に飾られてきたクリムトの名画<黄金のアデーレ>を、「私に返してほしい」という驚きの要求だった。

伯母・アデーレの肖像画は、第二次世界大戦中、ナチスに略奪されたもので、正当な持ち主である自分のもとに返して欲しいというのが、彼女の主張だった。共に立ち上がったのは、駆け出し弁護士のランディ。対するオーストリア政府は、真っ向から反論。大切なものすべてを奪われ、祖国を捨てたマリアが、クリムトの名画よりも本当に取り戻したかったものとは―?

■感想
自分の家に代々伝わる絵画をどのようにして取り戻すのか。戦時中にナチスに不当に奪われた黄金のアデーレの絵を、戦後、アメリカに移住したマリアが取り戻そうとする。オーストリアは国として黄金のアデーレを保持している。それを奪われることは許されない。

マリアとオーストリア政府の対決は圧倒的にマリア側が不利となっている。一個人が国を相手に訴訟して勝のは難しい。マリアの手助けをするのは、新米弁護士でマリアの甥であるランディだ。

ランディは最初は頼りなく、仕事の片手間にマリアの手伝いをしていたが、ついには仕事を辞めて黄金のアデーレを取り戻すことに集中することになる。オーストリアとの裁判には勝てる見込みはないのだがランディはアメリカを利用して黄金のアデーレを手に入れようとする。

マリアとランディがあらゆる手段を使いながら、交渉を続けていく。国が一度自分たちが手に入れたモノを手放すことはない。さらには、一度悪しき例を作ってしまうと、同じように戦時中の問題があとからあとからでてくることを恐れている。

そもそもランディが炊きつけなければ、マリアはアデーレを取り戻そうとは考えなかった。一度やる気になったマリアだったが、その道が困難だとわかると、尻込みする場合もある。裁判は長期間におよぶため、高齢なマリアに対する時間稼ぎのように思われる。

本作は実話をベースに描かれているとのことで、その後のマリアとランディの状況も語られている。やはり戦争時のドタバタから、どのようにして真実の形に戻すのか。ランディは仕事を辞め借金をしてでもマリアを助けようとする。その執念がすさまじい。

実話をベースにしているだけに強烈なインパクトがある。



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