オペレーションZ 


 2018.4.23      借金大国日本を救う手立ては… 【オペレーションZ】

                     
オペレーションZ [ 真山 仁 ]
評価:4
真山仁おすすめランキング
■ヒトコト感想
日本の借金がすさまじいことは理解していたが、本作を読むと、間違いなく日本の未来の危険性を認識できるだろう。もし、企業が国債を手放さざる得なくなったら、もし、日本にデフォルトが起きたら。そんな借金まみれの日本を救うため、総理大臣の江島は歳出半減を断行する。

日本の歳出のほとんどが社会保険料や地方への交付金ということに驚いた。さらには、半分は借金を返すために使っている。強烈に歪な状況であることは間違いない。もし、歳出半減を行うと、日本は自己責任の社会となる。財務省幹部や政治家やマスコミ。すべてを巻き込んでの大騒動。結論がでていないところが、まさに今の日本の状況を表しているようだ。

■ストーリー
国の借金は千兆円を超え、基礎的財政収支は赤字が続く。国債が市場で吸収されなくなった時、ヘッジファンドが国債を売り浴びせた時、国家破綻は現実となる。総理は「オペレーションZ」の発動を決断し、密命を帯びたチームOZは「歳出半減」という不可能なミッションに挑む。官僚の抵抗、世論の反発、メディアの攻撃、内部の裏切り者―。日本の未来に不可欠な大手術は成功するのか?明日にも起こる危機。未曾有の超大型エンターテインメント!

■感想
今現在の日本は、実はとんでもないことになっていた。小さな赤ん坊もいれた全国民の借金が800万を超える。将来的にその借金が削減される見通しもない。行きつく先は…。総理大臣と財務省のエリートたちは、日本の財政を健全化するために、歳出半減というむちゃくちゃなことを実行しようとする。

今の日本の状況をわかりやすく、そしてスリリングに描いた作品だ。政治的な駆け引きや官僚たちの保身、そしてマスコミの暴走。まさに今の日本を現しているような作品だ。

総理が財政を健全化するために爆走する。破綻した自治体の話や、今の日本が、年収1000万の家計が年収500万になったというわかりやすい例えなど、非常に説明が明快ですばらしい。既得権益を守ろうとする者たちの反発。官僚の抵抗。メディアは暴走する。

今の日本で歳出半減するということは、社会保障を全てカットするということだ。つまりは弱者を切り捨てる社会となる。若き官僚や大学教授が熱弁をふるう。作品を読むと、歳出半減は絶対に必要だと思うが、弱者を切り捨てることもやむなしのように思えてしまった。

本作の結末がどうなるのか楽しみだったのだが…。やはりというか、今の日本では起こりえないことは、虚構の世界でも起こりえない。世間の人々は、今の自分の生活が第一ということなのだろう。本作が描いた日本は、もしかしたら半年後には同じことが起きているかもしれない。

推進力のある総理が誕生した瞬間に同じことが起こったとしても、結局はなんらかの勢力により潰されてしまう。日本の未来はどうなるのか?なんてことを普段は考えないのに、急に日本という国の先行きを心配してしまった。

下手な勉強をするよりも、すんなりと日本の現状が理解できる良作だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp