おにいちゃんのハナビ


 2018.11.12      引きこもりの兄と白血病の妹 【おにいちゃんのハナビ】

                     
おにいちゃんのハナビ [ 高良健吾 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
新潟の田舎町での引きこもりの兄と白血病の妹の物語。まず妹の状況がすさまじい。女子高生でありながら病気のために髪を丸坊主にする。それでいて明るく楽しい感じで日々を過ごしている。兄の方はちょっとしたきっかけから、学校になじめずに引きこもりとなる。兄のことを心配した妹は、引きこもりの兄を町の若者たちの会に参加させようとする。

この状況は兄からすると強烈だ。ただでさえ社交性のない引きこもりの男が、排他的な田舎の若者グループに入りこむなんてハードルが高すぎる。さらには、相手のグループには、新入りを拒否するような言動をする者もいる。おきまりどおり妹の病状は悪化し、ある程度想定通りの流れとなる。本作が実話をもとにしていることに驚いた。

■ストーリー
新潟県小千谷市片貝町の花火大会とその町に暮らす兄妹の実話をもとに、余命僅かながら健気に日々を送る妹から生きる勇気をもらい再生していく兄と両親の絆を描く、真実から生まれた感動のドラマ。

■感想
妹は白血病で入院していたが、長い入院生活から家に戻ってくると兄が引きこもりになっていた。病気にもめげず明るい妹と、何にでも悲観的になる兄。序盤はこの対比からスタートする。両親も病気の妹のことばかり気にしているようで、実は引きこもりの兄についても気を使っている。

引きこもりになるのは、ちょっとしたきっかけなのだろう。明るく天真爛漫な妹と、それに引っ張られて無理やり外にでることになった兄。ここで兄が暴力をふるったりしないだけマシなのかもしれない。

引きこもりの兄が、妹に引っ張られる形で無理やり地元の若者たちのグループに入れられようとする。いくら同い年だからといって超排他的であり、よそ者を極端に拒む状況にある中で、引きこもりでおとなしく引っ込みじあんな兄がどうなるのか。

グループの中の一人が、兄に詰め寄り出ていけと言う。こんな状況は、引きこもりではない普通の状態の人でも尻込みしてしまうだろう。妹がふたたび倒れ、入院し余命わずかということがわかってから、引きこもりの兄は勇気をだして行動することになる。

妹が余命わずかな状況でありながら、兄のために必死に明るくふるまう。この状況がかなりインパクトがある。引きこもりの兄は、兄なりに勇気をだして思い切った行動をとる。

全体的には、妹が死ぬというのが予定調和的なので、暗い結末を引きこもりの兄が変わることで、より良い方向へと動いていくことを想定していた。妹役の主演女優は頭を丸刈りにするほど気合が入っている。かなり強烈なインパクトはあるのだが、その先には予定通りの結末となっている。

引きこもりの兄がどう変わるかがポイントだ。



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