2020.5.2 極限状態の日本兵は生きるために何をするのか?【野火】
野火
評価:2.5
■ヒトコト感想
フィリピンのレイテ島での物語。敗色濃厚な日本兵たちが、生き残るために必死となる。フィリピンのジャングルの中をさまよう日本兵たち。食料もなく戦意も喪失している。兵士たちは生き残るためだけに、必死になる。非常にグロテスクな映画だ。弱り切った兵士たちは銃弾で次々と血みどろになりながら倒れていく。
過酷なジャングルの中で生き残るためにはどうするのか。食料がなくなった場合の行きつく先は…。いくつか小さなグループが作られ行動するのだが…。衝撃的なのは、人間も極限状態になれば人を食べることもあるのだ、ということだ。なにはともあれ、本作はすべてにおいてグロテスクで衝撃的な場面が目白押しとなっている。
■ストーリー
第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。日本軍の敗戦が色濃くなった中、田村一等兵(塚本晋也)は結核を患い、部隊を追い出されて野戦病院行きを余儀なくされる。しかし負傷兵だらけで食料も困窮している最中、少ない食料しか持ち合わせていない田村は追い出され、ふたたび戻った部隊からも入隊を拒否される。そして原野を彷徨うことになる。空腹と孤独、そして容赦なく照りつける太陽の熱さと戦いながら、田村が見たものとは・・・
■感想
フィリピンのジャングルをさまよう田村。部隊が全滅し、いく行くあてもなくさまよっていたのだが…。同じような日本兵とジャングル内で出会う。誰もが少ない食料を求めている。田村は芋をもっているが火がないので蒸かすことができない。
山で偶然大量の芋を見つけたとしても、それを蒸かすことができない。田村が出会う日本兵たちは、何かしら癖のある兵士ばかりだ。ただ、誰もがげっそりと痩せこけており、体中が泥で黒くなっている。お互い助け合うのではなく、相手を出し抜こうと考えているような雰囲気すらある。
田村はボロボロになりながらも、ある伍長のグループに合流する。田村が偶然村で見つけた塩をもっていたからだ。田村は村で、現地人の女性を撃ち殺している。それは、女が叫ぶのをやめないからだった。この衝動的な死というのはいかにも戦時中らしい雰囲気だ。
悲壮感ただよう田村だが、そこからは伍長たちと行動をともにすることで少しづつ希望が見えたかに思えたのだが…。ここから、いきなり激しい銃撃が始まり、あっという間に周辺にいた日本兵たちは皆殺しにされてしまう。
田村は偶然煙草を持つおっさんと、その部下と思わしき日本兵と出会う。瀕死の田村を救ったのは男が持っていた猿の干し肉だった。猿を捕獲して食料としているように思わせておきながら、実は真実は別のところにあった。
猿が捕獲できないと、どうなるのか。猿と思い込んでいた肉が、実は人間の肉だった。極限状態になると人間は共食いをするのか。殺した人間の肉を必死な表情で食べる日本兵たち。ジャングルの中で生き残るためには、人はなんでもするのだろうか。
恐ろしいまでにリアルだが、強烈にグロテスクだ。
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