2018.9.18 起きたら必ず2時間の風呂 【物語のなかとそと 江国香織散文集】
物語のなかとそと 江國香織散文集 [ 江國香織 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
江國香織の雑文集。超ショートの物語から企画ものの文章、そしてエッセイまで作者がこれまで書き溜めてきた文章が収録されている。出典元が不明の作品すらある。エッセイについては、やはり作者の私生活が垣間見えるようで興味深い。朝起きたら必ず2時間風呂に入るだとか、朝食にはフルーツをよく食べるだとか。特に種なしピオーネを毎回食べているなど、作品からはうかがいしれない部分がわかるのは良い。
最初は作家になるつもりがなかっただとか、作家・江国香織が生まれた要因なども描かれている。エッセイは興味深いのだが、それ以外のちょっとした短編は、あまり印象に残らない。サラリと読める代わりに印象に残らないのはいつものことなので気にしないのだが…。
■ストーリー
江國香織の創作/生活の「秘密」がひもとかれる、ぜいたく、かつスリリングな一冊。この二十年のうちに書かれた掌編小説とエッセイから、すべて初収録。
■感想
江國香織の雑文集。エッセイは非常に興味深い。普段どんな生活をしているのかが伝わってくる。フルーツが好きで酒も好き。全体的にどこかアクセク働くというイメージはなく、どんなに金がなくとも常に優雅な暮らしを続ける、そんな印象のエッセイばかりだ。
なんだろう。父親が編集者であったとか、そのあたりの影響なのだろうか。どうしてもサラブレットな印象がある。苦労せずに作家として成功し、何不自由なく生活し家族もいて日々を幸せに暮らす。でも、どこかで満たされない何かを心に抱えているようなエッセイだ。
二十年間書き溜めたエッセイや短編なので、時期にバラツキがある。デビューして間もないころのエッセイもあれば、売れっ子作家となった後のエッセイもある。ふわっとしていてサラリと読める。読者として興味がないテーマであれば、あっさりと頭の中からは消え去ってしまうたぐいの作品だろう。
それでも、このライトな感覚は良い。肩ひじ張って読む必要はない。読むぞ!と気合を入れなくとも、だらだらと読むことができる。横になりながらポテチ片手に読むくらいの方がちょうどよいのだろう。
作者が読んだ作品のエッセイや、友達の話などもある。根拠なくセレブなのか?という印象をもつエッセイもある。四畳半の畳の部屋で座椅子に座りながら苦労して原稿用紙に万年筆を走らせるような、昭和の作家とは180度違う印象があるのはなぜだろうか。
中の作品でも触れられていたのだが、女流作家というその言葉のイメージからだろうか。それともちょくちょく登場してくるワインやフルーツのせいだろうか。作家として四苦八苦するイメージがまったくない奇異な作家だ。
ある意味、作品のイメージどおりのエッセイかもしれない。
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